満月の夜は綱引き、その1
満月が美しい旧暦8月15日。糸満市で大綱引きがあった。綱引きは、たんなる遊びではない。豊年と大漁祈願、家内安全、無病息災を祈る神事だ。南北に分かれた雄、雌の綱を結合することで実りを予祝し、勝負の結果で吉凶を占う。糸満は古式伝統を重んじる綱引きとして名高い。
北組の先頭に立つ「ゆがふう」の旗頭。豊年、幸せな世を意味する。
でもその前に、パレードのような道ズネーが見ものだ。各地区ごとに、旗頭を先頭に、鉦や太鼓を鳴らすチンク隊、子ども踊りやエイサー、婦人会、老人会などの踊りが続く。
各地区と団体の10数組が次々に演舞する。民謡に合わせてあでやかに、勇壮に踊り舞う。道ズネーが向かう先は、白銀堂という糸満海人(うみんちゅ)の守り神のある拝所である。到着すると、すべての地区、団体はもう一度、拝所の前で舞う。そして祈りを捧げる。こういうところが、観光化した那覇大綱引きなどと違うところだろう。
糸満ならではのプラカードを見た。それが下の写真だ。
沖縄戦で激戦の地となった糸満市では、昨年1月、水道工事中に不発弾が爆発して2人が重軽傷を負った。ことし7月に902発、9月8日には2113発もの大量の不発弾が見つかった。市民にとっては、とても危険で不安な現状にある。「沖縄大好き 不発弾をなくそう」の訴えは切実である。
さあ、いよいよ綱引きの本番だ。その前に、すべての旗頭が集合して競い合う「ガーエー」がある。旗頭は6m20㎝、重さ40㎏もある。持ち手の若者は16人。みんなモモヌチハンター(股抜半套)という衣装に身を包み、かわるがわる持ち手を変える。一人が持ち、肩に載せたり、片手で持ちあげる豪傑もいる。勇ましい旗の舞を披露した。さて、綱引きは長くなったので、明日にしようね。
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コメント
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チンク隊の子どもたちは「早く大きくなって、にーにーたちみたいに旗頭持つんだ!」って思ってるんでしょうね。それにしても糸満の大綱引きは子どもからお年寄りまで市民総出なので、この日は市内の学校も会社も休みなんじゃないですかね。ユッカヌヒーとハチグワチジュウグヤは、糸満では特別な日ではないですかね。使われた大綱は、朝から市民みんなで綯ったそうです。沖縄戦で一時途切れたんですよね。
白銀堂はやっぱり糸満ちゅの神様ですね。
投稿: いくぼー | 2010年9月23日 (木) 07時41分
チンク隊の鉦打ちの子どもを見ると、本当にあと10年余りたてば旗頭を持っているでしょうね。チンク隊に入る前、まだ2,3歳の沿道で見ている子どもたちも、みんな法被着て、太鼓持ち、踊り始めている。この子たち、もうすぐチンク隊に入るのでしょう。
漁師の街・糸満は旧暦の日を厳守して行事をするから、日曜、祝日に合わさない。だから、5月4日のハーレーにしても、8月15日の大綱引きにしても、平日の真っ昼間から行われるから、学校、仕事も休みにしないと成り立たないのかもしれないね。
投稿: レキオアキアキ | 2010年9月23日 (木) 08時06分