無料ブログはココログ

« 歌いながら働こう | トップページ | ドラフトで2名上位の指名に沸く »

2010年10月28日 (木)

ローカルヒーロー、琉神マブヤー

 沖縄のローカルヒーロー、琉神マブヤーが大人気である。といっても、大和ではほとんど知られていない。2008年10月から琉球放送で放送され、人気が出て一躍、ヒーローになった。「マブイ」とは魂のこと。平和に見える沖縄。その影で悪の軍団・マジムン(魔物の意味)が現れ、伝説の9つのマブイストーンを狙っている。沖縄の危機にマブイストーンを守る正義のヒーロー、琉神マブヤーがたたかうという物語だ。

 といっても、何が面白いのか、見てない人にはわからないだろう。その面白さは、徹底して、沖縄の言葉や民俗、歴史にこだわって作られているところだろう。琉神マブヤーは、海のかなたの神がいる楽園、ニライカナイからやってきた魂の戦士だ。彼が守るマブイストーンは、沖縄を象徴する民俗、精神のシンボルである。例えば「石敢當(いしかんどう)のマブイストーン」が奪われれば、魔よけの石敢當の神通力がなくなり、事故、災害が多発する。「エイサーのストーン」は、エイサーが踊れなくなる、一大事だ。「イチャリバチョーデーのストーン」は、「一度出合えばみな兄弟」のウチナー精神が消え、「人類はみな他人」と思うようになる。「命どぅ宝のストーン」は、なにより命を宝として大切にする精神は失われ、命を軽く考えるようになる。つまり、9つのマブイストーンが悪の軍団に奪われれば、沖縄は崩壊し消え去ることになる。

 悪の軍団のメンバーもいかにも沖縄らしい。首領は「ハブデービル」、デービルは、英語では悪魔だが、沖縄語では「○○でございます」という意味だ。副首領は「オニヒトデデービル」、紅一点で「マングーチュデービル」もいる。マジムンが持つ武器がスゴイ。マングーチュが持つ「マジムン三線」は、その音色で相手をたたかえなくする楽器だ。「マジムン台風」は、沖縄を吹き飛ばすほどのモーレツな威力をもつ台風である。

 そんなマジムンとたたかう琉神マブヤーの必殺技もスゴイ。「スーパー・メンゴーサー」は強烈ゲンコツをくらわせる。「ティーダ・ヤーチュー」は、指笛を吹くと拳が太陽(ティーダ)のような炎を飛ばしお灸(ヤーチュー)をくらわせる。ゴーヤーヌンチャクは、相手を健康にしながらたたかう。カメカメー攻撃は、沖縄おばあが「食べろ食べろ」と強引に勧めるのにならい、相手にしつこく食事をすすめ疲れさせる必殺技という具合である。

 このようにすべての設定が、沖縄色に彩られ、ドラマを見ていれば、沖縄の言葉、民俗にも強くなるのだ。なによりも、琉神マブヤーは、沖縄の平和を守るために力の限りたたかうヒーローである。まことに頼もしい。

      031  那覇まつりのオリオンビアパラダイスで歌うアルベルト城間、ディアマンテス

 テーマ曲「琉神マブヤー、魂の戦士」は、アルベルト城間が歌う。とってもノリのよい曲だ。彼がリーダーのディアマンテスのライブでは、必ず歌い、盛り上がる。いま、「琉神マブヤー2(ターチ)」が放送中だ。ドラマには、お笑集団・FECなどの芸人がたくさん出演して活躍中である。

 沖縄のまつり、イベントでは琉神マブヤーは引っ張りだこだ。マブヤーショーがあるとなれば、親子がぞくぞく駆けつける。でも、面白さは子どもだけではないのである。

 平和を脅かすマジムンといえば、現実の沖縄では、巨大な米軍の存在がある。悪質な事件や事故、騒音などが日々、県民の命と健康、暮らしを脅かしている。琉神マブヤーは、どう思っているだろうか。でも、米軍はマブイストーンを狙っているわけではない。だから、マブヤーの力にすがるのではなく、人間の力で解決しなければならない問題だろう。

 

« 歌いながら働こう | トップページ | ドラフトで2名上位の指名に沸く »

コメント

最初に琉神マブヤーの作成お披露目記者会見をテレビで見たとき、こんなのなんでつくったのかいな?こんなの売れるんかいな?と思っていたら、放送が始まるや否や大反響。2009年のテレビ放送では、マブヤーに変身する前の人間の役をFECのお笑い芸人「パーラナイサーラナイ」の知念シンゴがやり、シンゴを導くイングヮーの役をFEC代表の山城智二がやり、マジムン軍団の首領「ハブデービル」をやっぱりFECのお笑い芸人仲座健太がやっていた、という、FEC丸が抱えだったんよ。マジムン軍団には「クーバー」という「手下」も何人もいて、年中「ハゴーハゴー」と叫んでウチナーを汚しているわけ。アルベルト城間が歌う「琉神マブヤー 魂の戦士」の歌詞は「♪ウチナーが危ない デージ超ヤバイ 悪のマジムンやってくる ティダの力で地球を守るんだ アチコーコーの力で勝利をつかめ 琉神 琉神マブヤー 正義のヒーロー マブヤー 悪を懲らしめ スーパーメーゴーサーで 来たぞ 正義の 琉神マブヤー」です。ハイ、カラオケで歌うと92点出ます。お客からのリクエストが超多い曲で、ディアマンテスのライブにはもう欠かせなくなっていますね。
 このローカルヒーローがなぜこれほどまでにウチナーンチュの子どもから大人までひきつけるのか、子どもはヒーローものが好きだからわかるとしても、大人までが夢中になるのはいまだによくわかりません。子どもにつられて一緒にテレビ見ちゃうんでしょうかねえ。

 大人も琉神マブヤーファンが多いのは、ヒーローとストーリー全体に、ウチナーの民俗から肝心が満載され、とっても身近で、親しまれる存在だからじゃないですかー。それにしても、カラオケ92点はスゴイですね。
 「マブイ」(魂)という概念そのものが、ウチナーを代表するものでもありますね。「マブイを落とす」というのも、「驚いた時に魂を落とす」ということでしょうが、すぐ「マブイグミ」(魂を入れ直す)をしなければいけない、とか、こういう「マブイ」にかかかわる話しはたくさんありますね。「魂」は大和でもあるけれど、ウチナーの「マブイ」のような話はない。まあ、余計なことですがー。
 それに、あの「ウルトラマン」の生みの親は、沖縄出身の金城哲夫さんですね。こちらは、超有名なヒーローになったけれど、沖縄では、ウルトラマンにならぶヒーローが琉神マブヤーですね。

ウチナーは沖縄ではない。ウチナーは内南洋のウチナンヨウがウチナーに変化したものである。

コメントありがとうございました。
その説は初めて聞きます。
沖縄の読み方がなまって「うちなー」になったとか、沖縄は島民が島または島の一部を指す際に使う「うちなー」という呼び方が転じてできたという話は聞いています。
「内側」がなまって「うちなー」になり、漢字を当てたという説もあるけれど、都市伝説ではないかとも聞きます。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ローカルヒーロー、琉神マブヤー:

« 歌いながら働こう | トップページ | ドラフトで2名上位の指名に沸く »

最近のトラックバック

2021年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30