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2010年10月27日 (水)

歌いながら働こう

 「踊る気持ちで働きましょう。歌いながら働きましょう」。こんな言葉に出会った。誰の言葉だろうか? これは、全国的知られる沖縄民謡の「安里屋ユンタ」の作曲家である宮良長包さんの表現だ。宮良さんといえば、石垣島に生まれて、近代沖縄音楽の先駆といわれたり、「沖縄のフォスター」とも評される人だ。教育者であり作曲家でもある。

 長包さんは、「八重山は昔から詩の国歌の国、舞踊の国であった」という。さらに八重山は、「歌謡美を以て世界に誇っている。実に八重山文化の一要素、重大部面をなしているのは音楽である」と述べている。その八重山の古謡、民謡をベースにしながら、新しい民謡、歌曲をつくりだしたことで知られる。「えんどうの花」「汗水節」「なんた浜」その他、作品は数多い。

 その宮良長包著作集を読んでいたら、冒頭に引用した文章に出合った。 「あらゆるものの出現、存在、流動の前には必ずリズムがある⋯⋯万物はリズムの支配を受けている。このリズムの波に従うことに依って快楽は始まり、この波に逆らうことに依って苦痛は起こると申されている」「リズムは音を通じて音楽を生み、運動を通じて舞踊を生んだ。而して舞踊のリズムを強調してアクセントを強めたものが作業であると見る事が出来よう。して見れば、音楽と舞踊はリズムの双生児であり、舞踊の変形である作業は又音楽と共にリズムを母とする兄弟である」。なかなか、含蓄のある考察ではないだろうか。

 実際に、八重山では歌謡の一つである「ユンタ」(読み歌が転訛)は、人頭税を納めるため、ユイマール(共同作業)のとき、交互に歌って、作業の能率も上げたという。遊びの時も交互に歌い合った。「踊る気持ちで働く、歌いながら働く」というのは、絵空事ではなく、八重山では、かつては当然の姿だった。その中から、たくさんの歌謡が生まれたのだ。

 「昔の八重山は農業で富み、ユンタで栄えた。現代の八重山はユンタを忘れて生の潤いを欠き、ユイ(共同作業)を怠って個人主義に傾かんとするのではなかろうか」と手厳しい。「ユンタは労働を享楽させ、ユイ(共同作業)は共存共栄の美果を収めるものである」と強調している。

 これが書かれたのは、1932(昭和7年)であるから、もう80年近くも経っている。その後の変化はさらに大きい。でもここには、いまなお、歌謡や舞踊と労働の関係、ユイマールについて、耳を傾けるべき大事な指摘があると思う。

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コメント

「歌いながら働く」という場合、労働歌みたいなことを指しているのですか?今の生活では、歌は忘れられているということですか?いまいち難しいテーゼですね。具体的に「こういうことか」ということが思い浮かびませんが・・・。

 労働歌とか労作歌とかとも言われます。労働歌といっても、労働運動で歌われるのと違い、作業をするのに、みんなで歌いながらやったようです。仕事にもよるけれど、単純な作業を共同でするときには、歌いながらやると、リズムがついて、単調な作業も少しは苦労を軽くする感じになるかもしれません。
 宮良さんは、5人がユンタを歌いながら、ユイ(共同作業)をしたら、1日で仕上げる作業を、1人が働いたら10日かかっても仕上がらない、これは「作業の芸術的効果の関係があると思う」と言っています。難しい話しになりました。ゴメンナサーイ。

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