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2010年11月18日 (木)

組踊は離島や村、字区でも上演される

 組踊がユネスコの無形文化遺産に登録された。組踊は、歌三線、台詞、踊りの総合楽劇である。スゴイと思うのは、組踊のプロが演じるだけでなく、離島や村から、字や区のレベルでも、上演されるということだ。

   003 組踊「銘苅子」の場面。沖縄テレビから

 毎年上演するところもあるし、2年や5年に一度とか定期的に上演したりする。有名な多良間島の「八月踊り」では、塩川、中筋の2つの字(あざ)で、それぞれ「忠臣仲宗根豊見親」(ちゅうしんなかそねとぅいみゃー)といった演目を2番ずつ、合計4番上演するという。多良間の組踊は、本島の首里、那覇から伝わり、明治20年代に始まり、島の古くからの祭事に溶け込んでいったそうである。

 もともと、組踊は中国からの国王認証のため訪れる冊封使(さっぽうし)を歓待する芸能だから「御冠船踊」(うかんしんうどぅい)とも呼ばれた。王国時代は、首里王府だけで上演されていた。それが地方に広まったのは、明治の廃藩置県の前後からだという。組踊が村芝居の演目に加えられるようになったらしい。

    042 組踊は女性も男性が演じる。沖縄テレビから

 南城市大里の大城区には組踊「大城大軍」がある。組踊「大城崩」を基礎にして、地区に残る伝承をもと新たに創作された区独自の組踊だという。戦後の混乱で一時途絶えたが、1989年に復活上演された。同市の知念字久手堅(くでけん)にも組踊「鐘の割」が伝わる。

 読谷村渡慶次(とけじ)では、5年に1度、「組踊大川敵討ー村原」を上演する。全編3時間近くかかる大作だという。宜野座村松田区では、豊年祭で2年に1度、組踊「本部大主」を松田区伝統芸能保存会が上演する。うるま市浜比嘉島の比嘉では、12年に1度の祭り「うふあしび」が2009年にあり、組踊が上演された。同市伊計島の伊計区は、今月に開かれる伝統芸能祭で、組踊を上演する予定だ。 

 長らく上演されていなかった演目を、100年、200年ぶりに上演するところも各地にある。伊江島の東江上区は、組踊を村踊と呼ぶが、「操義伝」(そうじでん)という演目を100年ぶりに復活した(2006年)。石垣市では、石垣字会がことし、組踊「伊祖の子」を1895年以来、115年ぶりに再演した。

 糸満市では糸満にゆかりのある組踊「月の豊多」(ちちぬとぅゆた)を、1756年の王府での冊封使市歓待の場での上演以来、243年ぶりに上演した(1999年)。東風平村(現八重瀬町)では、1756年の国王即位式以来となる241年ぶりに、組踊「身替忠女」を一部を創作して上演した(1997年)という。

 豊見城市では、同市ゆかりの組踊「未生の縁」を村の時代の1997年、241年ぶりに上演した。やはり1756年の冊封使の歓待で上演されてい以来だという。その後も豊見城市組踊保存会が再演している。

 蛇足になるが、この「未生の縁」は、平敷屋朝敏の「手水の縁」と同様に、愛情がテーマである。平良城の若按司と保栄茂(びん)の娘が、生まれる前から親同士の約束、つまり「未生の縁」があり、さまざまな困難を克服して深い愛情で結ばれるというストーリーである。組踊で恋愛物は極めて少ない。ただ、朝敏の「手水の縁」は、結婚は親が決めるのが当然という封建道徳、支配秩序を打ち破って結ばれるという勇気ある組踊だったところに、同じ愛情物といっても、大きな違いがある。

 これがすべてではない。ほかにもある。このように、地方でも組踊が伝統芸能として保存され、愛されている。これらは、島民、住民が日ごろの仕事の傍らに、稽古を重ねて上演にこぎつける。その苦労は大変なものがあるだろう。地方で芸能保存会、組踊保存会などがあり、保存に熱心に力を注いでいる。もともと沖縄は伝統芸能がとっても盛んだから、歌三線、踊り、村芝居などやれる人がたくさんいる。「芸能の島」であり、芸能の伝統が根付いている。そんな、芸能の底力がなければ、これだけ各地で組踊を継承できない。だから、文化遺産として登録されたのは、ただ国立劇場あきなわで上演する芸能保存者の存在だけでなく、その底辺にたくさんの庶民レベルでの芸能の力があるということを言いたかったのである。 

 

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コメント

rbdiラジオにしっちゅう投稿していた「ラジオネーム・多良間島のトラクター青年」さんも、「八月踊り」に出るための稽古が大変だって言ってました。なにしろ日ごろは「トラクター」でハルサーしてる「青年」だから。「八月踊り」は区民総出で毎日難しい台詞や踊りを稽古するそうです。確か多良間島の「八月踊り」は国の無形文化財に指定されていませんでしたか。そのほかの地域でも子どもから大人まで演者になるようですね。でも一回の観賞で3時間とは、とても体がきつくて座っていられません・・・。

 小さな島、それも区ごとに組踊を上演するのは、住民ぐるみの努力、熱意がなければできないですね。多良間の豊年祭「8月踊り」は、これだけでユネスコの無形文化遺産の候補になっているようですよ。
 多良間といえば、政治犯で処刑された平敷屋朝敏の息子が島流しになったところです。一度、行ってみたいねー。

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