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2010年11月25日 (木)

沖縄の地名は難しい、その2「勢理客」とは

  沖縄の地名で、「その1」に書いた「保栄茂(びん)」と難解さでナンバーワンを争う地名が「勢理客」だろう。通常、「じっちゃく」と読む。「せりきゃく」と呼んだこともあるらしい。「せりきゃく」なら、まだ漢字の読み方として、普通だろう。でも「じっちゃく」はありえなーい!。「一着になっても、じっちゃく(10着)」という駄洒落もある。「せりきゃく」と読むのは読めるにしても、脈絡のないこの字では意味不明である。
 しかも、1か所ではなく浦添市や今帰仁(なきじん)村、伊是名(いぜな)島にもある。浦添は「じっちゃく」、その他は「せりきゃく」と読んでいる。沖縄だけでなく、沖永良部島にも瀬利覚(せりかく)があり、方言では「じっきょ」と読むという。
 勢理客の由来について、勢はいきおい、理は理にかなっている、それを兼ね備えたお客様が多い地域という意味があると説明する人がいるが、これは同意できない。山村や離島には、その説明は当てはまらない。漢字から無理やりこじつけた印象だ。それに沖永良部とは字が違う。勢理客の字は当て字で、漢字に意味はないのではないか。
 宮城真治著『沖縄地名考』では、勢理客はシリサクで、「後ろの谷間」に由来する地名ととらえているそうだが、これも、いまいち共感を覚えない。
 それで、いま読んでいる平良恵貴著『琉球の地名と神名の謎を解く』に、面白い見解が出ているで紹介したい。平良氏の地名を解釈する手法は、簡単に言えば、複数の地に見られる同一の地名を集め、そこに共通し、しかもそれらの地を他の土地から区別する特徴を探しだすということだ。これは、地名を考える上では、かなり妥当な方法ではないだろうか。
 琉球の古謡集『おもろそうし』には「せりかくののろ」という「ノロ(神女)の名が見えるので「じっちゃく」の古音は「ゼリカクまたはせりかく」であったと考えられるという。「せりきゃく」と読んだ時代もあるようだ。 
002         
 それで、勢理客という地名の場所は、「いずれも海に面している」という。いまは内陸にある今帰仁村の勢理客も、かつては海に面する村落だったそうだ。それだけでは、琉球の海岸はいたるところにある。他の海岸と区別するものは何か。それは、「いずれもかつては海に連なる川口の傍らに位置していた村落、即ち、魚の回遊通路を前にした村落であった」ことだという。
 この魚群通路は魚を獲るため「魚わな」を設置していた。網の代わりに竹や木を用いた「魚わな」があったと見る。このように、魚群通路であった各地の「勢理客」と呼ばれた土地の前には、魚を獲る仕掛けのアジロ垣の竹材や木材が林立する特異な風景が見られ、このアジロ垣に因んで勢理客の地名が生じたことは「ほぼ疑いのないところである」とのべている。
 アジロ垣がシロ垣に転じ、さらに転訛を続け、ジリカク、ジリキャク、ジッチャクになったと推測している。勢理客と呼ばれた土地の共通性と特徴を探るところまでは、興味深かい。ただ、そこからさらに「セリキャク、ジッチャク」に転化したという推測になると、もうややこしくて、よくわからない。これは、平良氏の一つの見解として理解するしかない。
 まあ、地名は、由来を書いた文書や碑文など明確な史料や伝承などがなければ「これが正解だ」というものがない。だから人によって、見解がまるで違うことがしばしばである。
 まあ、県内に同一の地名がいくつもあると、そこに何らかの共通する由来があるはずだ。それを知りたいだけである。
 写真は「沖縄の海岸風景」。地名とは関係ない。

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コメント

浦添に住んでる友だちが「勢理客」の読み方にかんして、地元でも「せりきゃく」と言うか昔から使われていた「じっちゃく」と言うかで声がわかれ、結局昔から使われていた「じっちゃく」に落ち着いたって話していました。彼女は手話をやるんだけど、沖縄の地名を手話で表すと超難しい!しかもその手話は県内でしか通用しない!たとえば浦添の手話表現は、海に近くて釣りに行く場所だから「釣り」を意味する手話表現を用い、安謝は「安心」と「謝礼」の手話表現を組み合わせ、うるま市は「うるま」というたばこがあるから「煙草をのむ」という手話表現、那覇は高い建物がたくさんあるから「ビル」を意味する手話表現を用いる・・・といった次第。では「勢理客」の手話表現は・・・忘れた~。アギジャビヨイ!地名の話から手話の話になってしまったさ~。地名が難しいと手話も難しいさ~。だって通常の手話表現のキャパシティーを超える固有名詞が沖縄には多すぎる!

確かに沖縄は、難解な地名や名字が多いから、手話で表現するのは難しいでしょうね。地名のことを考えても、手話のことまでは考えもしなかった。勢理客の読み方が「せりきゃく」と「じっちゃく」と両方あるのは、大和口とウチナー口の違いでしょうか? 平良さんの本を見る限りは、違うようです。でも沖永良部で沖縄とそっくりの読み方が二通りあり「じっきょ」が方言読みと言っているのは気になりますね。

あい、わしとーたん。ところで「具志川」っていう地名もあちこちにあるさ。なんでねえ?(・・?

具志川はとっても多いな。宮城真治さんは、『沖縄地名考』で次のように説明してます。
具志川は、クシジ(後地)の義をもって名付けられた。久米島の具志川は島の後ろなる北部に位置する。中頭の具志川も北方に位置する。こう述べているけれど、いまいちしっくりこないですね。うるま市の旧具志川市は、どこから見て、後ろと言えるのか、北方というのも無理があるしね。なにかもっと別の意味があるのじゃないだろうか、と思います。

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