3月4日は「さんしんの日」心ひとつに
3月4日は、ゴ ロ合わせで「さんしんの日」である。「三線の楽しみを多くの人と分かち合いたい、沖縄中を一つにできることはないか」と、琉球放送の元ディレクターで、パーソナリティの上原直彦さんが1993年に提唱して始まった。今年で19回目となる。
メイン会場は、読谷村文化センター・鳳ホールである。正午から午後9時まで、時報に合わせて、いっせいに三線を弾く(右)。なにしろ、沖縄では、25万丁の三線がある、5人に1人が持っている計算だ。
県内外から海外まで、一つの楽器で一つの曲を1時間ごとにいっせいに演奏する、という催しは他にないだろう。三線ならではの、とってもユニークな企画である。演奏するのは、沖縄の代表的な祝い曲「かぎやで風節」(カジャディフウブシ)である。写真は、琉球放送のテレビ放送から紹介させてもらった。
メイン会場がなぜ読谷村なのか? それは今から500年前に、沖縄に三線と歌を広め「歌三線の始祖」ともいわれる赤犬子(アカインコ)が生れた土地だからだろう。
会場の舞台には、「かぎやで風節」の巨大な工工四(楽譜)が掲げられ、覚えていない人でも弾ける。時報の前には、「チンダミ」をしてみんなの音を調弦する。会場は、3部入れ替え制で県内各地から集まった愛好家が時報ごとに演奏した。古典音楽や民謡の演奏、琉球舞踊が披露された。
会場に行けない人も、自宅でいっしょに演奏できるのがこの企画の魅力だ。今年は、パソコンでも動画でライブ中継を見られたので、会場内外の模様が手に取るように分かった。わが家でも、時報に合わせて3回演奏してみた。最初は、ラジオの音が小さく、バラバラになったが、2回目からはなんとか合った。県内外の人たちと一体感が持てた。
会場では、民謡界の若手、中堅、大御所が次々に登場して、見事な歌三線を披露した。与那国島出身の宮良康正さんは、小浜節など聴かせた(右下)。
県内各地の催しも多彩である。離島の伊是名島、久米島、石垣島、宮古島をはじめ、本島の本部町、宜野座村、うるま市、那覇市、豊見城市、与那原町などで集まり、いっせいに演奏した。読谷村では、赤犬子宮で奉納 演奏、奉納舞踊が行われた。左はパソコンの動画から、赤犬子宮の演奏。
那覇市で視覚障害者福祉協会・若松の会、与那原町東浜では、名曲「兄弟小節」(チョーデーグヮーブシ)の作者・前川朝昭さんの一門である前川本流一門会が、この名曲の歌碑の前で演奏した。私の知り合いのHおじいもこれに駆け付けたようだ。豊見城市では、八重山、宮古の民謡協会の人たちが独自の催しもした。県立芸術大学でも取り組まれた。
テレビでは、楽屋裏の光景も「突撃リポート」がされた。右は、歌手の前川守賢、RBCの箕田和男アナウンサーから取材を受ける女性歌手の3人組
県外では、東京、神奈川、千葉、長野、兵庫の各都県でイベントがあったようだ。「三線毛遊び」と昔、野原に出て歌い遊んだのにちなんだ企画もある。さらに、沖縄ならではというのは、戦前からハワイ、北南米など海外に移民でたくさんのウチナーンチュが出ていったので、海外で三線文化を受け継ぎ、広めている。だから、ハワイをはじめ海外でも沖縄と心を一つにして、ともに演奏した。
来年は20回目の節目となる。提唱者の上原直彦さんは、もう「明日から、『さんしんの日』まであと365日」と張り切っている。
« パシフィック飛び渡った虎・平良新助、その1 | トップページ | パシフィック飛び渡った平良新助さん、その2 »
「音楽」カテゴリの記事
- アルテで「肝がなさ節」を歌う(2014.02.10)
- アルテで「歌の道」を歌う(2014.01.13)
- アルテで「時代の流れ」を歌う(2013.12.15)
- 第30回芸能チャリティー公演で演奏(2013.11.24)
- ツレが「渚のアデリーヌ」を弾く(2013.11.18)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
1時間ごとに時報に合わせて「かぎやで風」を弾くなんて、すごいですね。「チンダミはCに合わせて下さい」と上原さんが会場の舞台で放送していたけど、Cは時報を刻む、「ポン、ポン、ポン、ピーン」の最後の「ピーン」の音と同じだからだそうですね。王朝時代のチンダミは円覚寺の鐘の音に合わせてやった人もいるんだそうで。今日「さんしんの日」1日、沖縄県内・県外・国外合わせて何人ぐらいの人が「かぎやで風」を弾いたでしょうか。「かぎやで風」はめでたい時に弾く曲だから「さんしんの日に選ばれたんだと思いますので、そのあたりも書いてくれるとよかったです。
それにしても上原さん自身、「さんしんの日」が19年もつづくとは思っていなかったでしょうね。
投稿: いくぼー | 2011年3月 4日 (金) 18時24分
調弦の音は、たしかに時報の最後の「ピーン」の音です。これは、ドレミファの上のドの音ですね。円覚寺の金の音も、ドの音だったのでしょうか? 演奏する速さ、テンポは、昔はメトロノームがなかったので、人間の脈拍で測ったそうです。「さんしんの日」は年々、正大になり、三線をやる人は、いろんな形で参加しているみたい。知り合いのKおじいも、女性4人組から「自分でチンダミ(調弦)できないから、Kさん、いっしょに行って!」と頼まれて、いっしょに行ったようです。
上原さんは、自分が提唱した催しが県民的な規模になってきたので、とても張り切っていますね。予想以上の盛り上がりでしょう。
投稿: レキオアキアキ | 2011年3月 4日 (金) 18時32分