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2011年5月 2日 (月)

沖縄のハーリーの起源は?

 5月3日から那覇ハーリーが3日間行われる。1日には、沖縄のハーリーの発祥の地といわれる豊見城市で、第9回ハーリー由来まつりが開かれた。
 爬龍船の競争であるハーリーは、1393年、南山王のおいの汪応祖(ワンオウソ)が中国の南京に留学中、龍船の競争を見て感動し、漫湖に船を浮かべて遊覧したのが始まりとされる。
 そういえば2008年に民俗学者の故比嘉政夫先生の講演を聞き、ハーリーの起源についても話していたことを思い出した。 012  写真はいずれも2010年那覇ハーリーの時のものである。中学生らが漕いでいる。

 比嘉先生は、ハーリーも外来文化と土着文化が融合したものだという見解だった。先生によれば、沖縄の祭祀行事で、船漕ぎをともなうものには次のものがある。
①旧暦5月4日の爬龍船の行事 (注・那覇は新暦ゴールデンウィークに行うが、糸満市など
 伝統あるハーレーは旧暦5月4日に行われる)
②沖縄北部のウンジャミ行事、八重山のシツ(節)、豊年祭など豊穣祈願の儀礼と結びつい
 た船漕ぎ競争がある

 このうち、旧暦5月4日の爬龍船行事の起源には、次の三つの説があるという。
①閩人(ビンジン)36姓が那覇の江で龍船競争をした。
 (注・閩人36姓とは、14世紀に明から琉球の久米村に帰化した人のこと)
②長浜太夫という人が南京でならってきて龍船をつくり5月はじめ競争した。
③汪応祖が明で見た龍船をつくり漫湖で競争した。 032

 比嘉先生は、中国大陸から伝来した龍船競争が、沖縄の民俗に根をおろしたのは、土着文化としての沖縄北部地域のウンジャミ(海神祭)や八重山西表島のシツ(節祭)に見られる船漕ぎの儀礼やそのような行事を支える世界観が龍船競争を受容する「受け皿」として働いたからではないかと述べている。
 ウンジャミやシツは、海の彼方の神の在所「ニライカナイ」からユー(豊穣)を招き入れる祈願が中心になって、海上楽土の観念が顕著な海と結びついた祭祀行事jだろいう。

 中国の龍船競争の源流について、比嘉先生の見解は興味深い。
 福建省や香港など東シナ海沿岸地域では、海で行われることもあるが、この祭祀の源流は、むしろ内陸部の湖沼や河川に結びつく農耕民族のものであるという。
 比嘉先生は、中国奥地など現地調査をよく行っており、講演でもメコン河などでの龍船の競争の映像を見せてくれた。

 021

 沖縄のハーリーも、その基底に農耕儀礼としてのウンジャミなどの行事がかかわるとすれば、豊作祈願が本来の意味であろう。沖縄のユー(豊穣)の観念は、豊作、豊漁、多産を包括する意味を持っている。
 比嘉先生が、楽しそうにお話されていたことを思い出す。この講演から9ヶ月後にに突然亡くなられたことは、本当に残念なことである。 

 

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コメント

確かに北部の宜野座塩屋でおこなわれているウンジャミは、ノロたちがウスデークを叩きながら御願所を回り、最高位のノロは浜まで神輿でやってきて、海でハーリーが始まると、女たちは腰までつかってウスデークを叩き、最高位のノロが祝詞を捧げます。あれは非常に土着性の高い、五穀豊穣を願うの祀りですよね。八重山の海神祭って、大漁と航海安全を願う儀式じゃないんですか。シツっていうんですか。「節祭」といいますよね。いまは沖縄県下各地でハーリーやハーレーが定着し、子どもたちに受け継がれているので、どれが正しい由来かをつきとめる必要はあまりないんじゃないですかね。学問をやる人が考察すればいいと思いますけど。

 ウンジャミ(海神祭)を映像で見たことがありますが、あれは大宜味村の塩屋でした。一度見てみたいですね。海神祭といえば、大漁祈願かと思いがちですが、豊穣を願う農耕儀礼なんですね。
 沖縄でも地方のハーリーは、龍船ではなくほとんどサバニを使うでしょう。八重山の黒島などハーリーは糸満漁師が持っていったと比嘉先生は話していました。八重山のシツはやはり豊作、豊年を願う祭りでしょう。ハーリーの由来について、詮索するつもりはないですが、私の興味はハーリー、ハーレーが海の行事だから大漁祈願だと思いがちだけれど、本来は農耕儀礼だったという点です。これは、前にも「沖縄に大漁歌がない」と書きましたが、古い琉球時代は、漁業は成立していなくて、海辺の村は自分たちが食べるために魚を獲っていたので、大漁祈願の祭りではなく、祭りと言えば五穀豊穣、豊年の祈願ですね。ただ近代になり漁業が盛んになると、豊漁や航海安全が切実ですから、豊漁と安全を願う祭りが盛んになり、ハーリーもそういう祈願が込められたのでしょう。

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