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2011年7月15日 (金)

民謡には雲がよく歌われる

 沖縄の空は一年の大半は入道雲がわいている。青空に白い雲がポカリポカリと浮かぶ。「世界の各地の空を見たけれど、沖縄の空の雲は一番美しい」と言ったラジオの人気DJもいる。空を見上げるとなるほどの思うことがよくある。

 民謡には、この雲がよく歌われる。それは、まるで人の姿や顔に見えたり、島に見えたりする時があるからである。雲を歌った代表的な歌に「白雲節」(シラクムブシ)がある。007「♪白雲ぬ如に 見ゆるあぬ島に 飛び渡てぃ見ぶさ 羽ぬ有とてぃ」
  (白雲のように見えるあの島に 飛び渡って見たい羽があれば)
「♪飛び鳥ぬ如に 自由に飛ばりてれ 毎夜行ぢ行逢てぃ 語れすしが」
  (飛ぶ鳥のように自由に飛べたなら 彼女のもとに毎夜通って語り合うのに) 
「♪我が思る無蔵(ンゾー)や 白雲ぬ如に 見ゆるあぬ島ぬ なひんあがた」
  (私が思いを寄せる彼女は 白雲のように見えるあの島のさらに向う側にいる)
「♪我がや思み尽す だきに思ゆしが 渡海(トケ)ゆ隔(ヒ)ぢゃみりば 自由ねならん」
  (私が思い尽くすほど恋しい彼女だが 海を隔てて離れていれば 自由にならない)
「♪例い渡海隔ぢゃみ 別りやい居てぃん 白雲に乗してぃ 思い知らさ」
  (例え海を隔てて離れ別れていても 白雲にこの思いを乗せて知らせなければ)
「♪一人淋々とぅ 眺む白雲ん 無蔵姿なとてぃ 忘りかにさ」
  (一人で淋しく眺める白雲が 愛しい彼女の姿に見えて 忘れられない)

006 もう一つ雲の登場する民謡を紹介する。「多良間ションカネー」である。多良間島の唄だ。島に赴任してきた役人が現地妻をもらい、子どもももうけるが、任期が終わり離れなければならない。その別れの辛さを歌った名曲である。雲が登場する歌詞だけを紹介する。

「♪あがずん立つ白雲だきよマーン わあらんゆ立つ ぬり雲だきよスウーリ うぷしゃなりわらだよスウーリ 主がなすよ」
 (東方に広がる白い雲のように 上方に見える大きな雲のように 出世してもう一度 島に帰ってきて下さい)

 「あがずん」と書いたのは、実は違う。「ず」ではなく「す」に「。」がつくのが正しい。でもそんな字はないので出ない。宮古島の民謡ではよく使うが、発音も難しくて、説明を何回聞いてもいまだによく分からない。

 この唄は、何年も家族としてともに過ごした役人が島を離れる。空に浮かぶ白い雲のように、大きな雲のように、出世をしてぜひもう一度帰ってきてほしいという、女性の願いを込めた唄である。現地妻の悲哀が表現されている。

 

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コメント

沖縄は入道雲が出ている時期が長いから、謡われるんじゃないでしょうか。雲の形の変化を見て、季節の移ろいがわかりますもんね。暑くても、入道雲から鰯雲に変わってくると、季節は秋に入ってきます。でも沖縄は全国一快晴率が低いと言われますよね。夏は毎日直射日光が強く、毎日快晴って思うけど、こういう入道雲があると、気象台は「快晴」にはカウントしないんですかね。白雲も多いけど、カタブイも多いですが、それは民謡には謡われませんか。雨は民謡にはあまり出てきませんか。日本の演歌には雨が多いですけどねえ。

 雲が登場する民謡は数えきれないくらいあります。沖縄は晴れていても、雲があるので快晴が少ないでしょう。でも夏は、雲があると少しは直射日光を遮ぎるのでいいですね。雨をテーマにした民謡はたしかに少ないですね。知っているのでは「愛の雨傘」があるぐらい。「愛の雨傘忘れるなよ」と謡います。
雨乞いの古謡はありますね。

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