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2011年10月27日 (木)

故郷を想う島唄「やいま」

 石垣島出身の歌手、ミヤギマモルのヒット曲に「やいま」がある。「やいま」とは八重山のことだ。故郷を想う島唄といえば、大和人間からみると不思議である。なぜかといえば、大和感覚では、地方から東京や大阪、名古屋など大都会に進学や就職で出てきた人が、生れ故郷を偲ぶからだ。だから、大都会で沖縄を偲ぶならわかるが、同じ沖縄の中で故郷を偲ぶとは、なぜなのか、という意味である。

045           石垣島の川平湾

 でもそういう疑問が大和感覚であり、沖縄ではフツーのことだ。なぜなら、沖縄はやはり長く琉球が独立した王国だったように、沖縄が一つの生活、経済、文化の完結したエリアであるからだ。琉球弧の島々の中で、沖縄本島と県都の那覇市には、各離島や北部の山原(ヤンバル)など地方から、進学や就職で故郷を後にして人々が集まった。

 私の行っている三線サークルでも、那覇市の出身者は少ないだろう。国頭村、大宜味村、今帰仁村、本部町、石垣、宮古,渡嘉敷島など地方と離島の出身者が多い。ラジオをはじめメディアで人物を登場させるときも「あなたはどちらの出身ですか?」と質問する。「私は久米島の生れよ」「私は伊江島出身です」などと答える。あたかも東京あたりで、「どちらの地方出身ですか?」と聞き、「東北の山形」「新潟の生れ」などと答えるのと同じである。

139_2          石垣島の平久保崎からの眺め

 なにしろ沖縄は、本島以外に沖縄振興特別措置法で決めた離島が54島あり、そのうち有人島は39を数える。離島でも高校のあるのは、石垣、宮古、伊良部、久米島など大きな離島だけ。だから他の有人島では、中学校を卒業すると、高校は本島か石垣、宮古などの高校に進学する。「15の春」に親元を離れることになる。
 高校を出ても、大学は本島と県外しかないから、大学進学で本島に来る人も多い。就職となれば、島に帰らずそのまま本島で就職する例が多い。というわけで、故郷を想う感覚は、沖縄がいまも一つの独立した単位のような感じがするのである。

 遅くなったが、故郷を想う「やいま」を毎日三線で弾き歌っているのでその歌詞を紹介しておきたい。
1、海を見れば 故郷を思い出し 山を見れば また故郷を思い出す
  月の浜辺で 泡盛飲みながら 夜の明けるまで 歌った島唄よ
  故郷離れてから はや12年 変わるなよ その眺め やいまの島々よ

2、情け深き父に 元気でいるかなと 便り書いては 出せずに読み返し
  母のぬくもり 思い出しながら 今も歌うよ やいまの島唄よ
  故郷離れてから はや12年 変わるなよ その情け やいまの島唄よ ※繰り返し

133          石垣島の伝説を秘めた野底岳

 「やいま」を作詞作曲したミヤギマモルの経歴を見れば、彼の思いがそのまま唄に込められていることがわかる。
 高校卒業後、進学のために、故郷の石垣を離れ那覇市に移り住んだ。その後、12年のサラリーマンを経験し、音楽の世界に入ったという。サラリーマン時代に、作曲したのが「やいま」。地元の貨物航空会社のコマーシャルに起用され、注目を集めた。1998年2月、初のアルバム「やいま」でインディーズデビューした。2000年には、あの歌手の千昌夫が「やいま」をカバーした。
 私もカラオケで歌う時は、ミヤギマモルは声が高すぎてキーが合わせにくいので、千昌夫で歌うとちょうどキーが合う。
 この歌を歌うと、離島から那覇に出てきた人たちの、故郷の島々を想う気持ちがとてもよくわかる。  

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コメント

ミヤギマモルさんは、いまは石垣に帰って、地元起こしの活動とか、歌手活動、ラジオパーソナリティー(石垣の放送局から発信する「ゆいゆいやいま」など)などで、地元に根ざしていますよね。同じ石垣出身の新良幸人は那覇や東京にどんどん出て、日本的にメジャーになるように活動しているのと対照的です。
「生り島」という言葉は沖縄に住んでいると普通に聞きます。先日テレビで本島の過疎地・僻地にある協同売店の存続の憂き目の話題がリポートされていました。そこに住む(確か国頭の安和だったかな)お年寄りのおばあちゃんが、「ここは私のシマだから。体も悪くなって歳とって、息子が名護にいて、一緒に暮らそうって言ってくるけど、私はこのシマで生れて育ったんだから、このシマを出る気はない」と言ってました。ウチナーンチュにとって、自分が生まれ育った場所は「島」であり、そこへの愛情、郷愁は一生染みついているものだと思います。
だから「やいま」を聞いても、自然にいい歌だと思えますね。この歌は、歌詞もいいけど、それ以上にメロディーがいいです。興味のある方はユーチューブで観賞してほしいですね。

 ミヤギマモルは生れ島に帰ったわけですね。そういえば、西表島出身の池田卓(スグル)も西表でも道路も通じていない故郷に帰って活動してますね。音楽活動のことだけ考えれば、本島の方がやりやすいだろうけれど、それだすべてではない。故郷は想うだけではなく、やがて帰る場所。沖縄から東京、大阪などに出て行った若者も、沖縄に帰る人が多い。ウチナーンチュにとって、生れ島への愛着は大和の人とは異なる強さがありますね。
 千昌夫が「やいま」を歌ったのは、「北国の春」と同じように故郷を愛する歌だし、メロディーも流れるような美しさがあるからでしょうね。

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