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2012年5月 6日 (日)

英雄・尚巴志の墓を訪ねる

 琉球を統一した英雄・尚巴志の墓が読谷村伊良皆(イナミナ)にあるというので訪ねた。墓のある国道58号線の東側は、米軍の嘉手納弾薬庫地域として接収されている。ただ、沿線沿いは黙認耕作地として、農作物つくりに利用されていると聞く。戦前は、伊良皆の主な集落がこちらにあったそうだ。020  国道から入ると砂利道に、警告看板が目立つ。嘉手納空軍の第18航空団と防衛省、読谷村、地主会の名前で「娯楽行為は許可されていない」と4WD、バイク運転者に警告している。でも、そのわきをオフロードバイクが警告を無視するように走っていった。墓を訪ねる人は、場所が分かりにくくて、5回挑戦してやっと見つけた人もいる。でも、私は事前に第一尚氏の系統の人たちが書いた本に掲載された地図を頼りに行ったので、1回で着けた。途中の道路わきに井戸のある標柱がいくつもあり、村の人たちが住んでいた往時をしのばせる。

001  道路わきに尚巴志の墓を示す石碑が見えてきた。車を止めて山道に入っていった。この森は、南城市佐敷の出身である尚巴志の墓があるので「佐敷森(サシキムイ)」と呼ばれている。003  山道を120㍍ほど進むと墓が見えてきた。

 

014  琉球が3つの小国に分かれていた時代、尚巴志が中山王を倒して1406年に父、尚思紹が国王に即位した。1416年に北山を滅ぼすと、1422年に尚巴志が2代目中山王となった。1429年に南山も征服し、琉球三山を統一した。日本史でいえば、秀吉が日本を統一したのに例えられる。その意味で、古琉球の英雄とみられる人物だ。
 ここには、3代目尚忠、4代目尚思達も葬られている。

 

008  大きな岩山の洞穴を使って陵墓としている。尚巴志は在位18年に及び、68歳で死ぬまで活躍した。しかし、その息子の尚忠は在位5年で死去。4代目、尚思達も在位5年で世を去り、子どもがいなかったので、叔父にあたる尚忠の弟、尚金福が即位した。やはり在位4年で亡くなったという。不運というか短命な国王が続いた。

010  なぜ首里から遠く離れた読谷村に第一尚氏の王墓があるのだろうか。
 それは第7代尚徳王の時、農民上がりで先代尚泰王に取り立てられていた金丸(後の尚円王)がクーデターを起こした。そのとき、首里にあった天山陵墓が焼き打ちされることを恐れて、側近たちがその前にいち早く抜け出して、金城町の大日寺の奥に尚巴志らの遺骨を隠したという。寺院に入ったので、金丸の追手は追跡できなくなった(注・大日寺はこの当時創建されていなかったので、この部分は別途訂正する)。
 読谷の伊良皆に遺骨を移し、故郷の佐敷をしのび「佐敷森」と称したそうである。當真荘平著『月代の神々ー尚思紹王統・門中の世系図』から要約して紹介した。

 

013  お墓はガジュマルで覆われている。訪ねてみると、いかにも首里王府に知られないように、密かに隠してお墓をつくったという感じがする。それにしても、なぜ読谷村なのか。読谷といえば、かつては尚巴志とともに北山征伐に連合して戦った護佐丸が、座喜味城を築いていた場所だ。そんな縁があるのだろうか。まだよくわからない。

 

006007

 

 

 

 

 

 墓の入り口には、第一尚氏の系統の門中(ムンチュウ、男系の血縁集団)の人たちが、参拝に来たことを記念する碑が建っていた。

 

016  墓の奥にも、別のお墓らしきものがあった。わ018 ざわざ尚巴志の墓のそばに作られているのだから、第一尚氏と関係のある人の墓だろうか。なにも説明するものがないので、わからない。

 それにしても、尚巴志ら3国王の墓は、嘉手納弾薬庫に接収された土地の中。初代の尚思紹王の墓、佐敷ようどれは、南城市佐敷の自衛隊基地(戦後は米軍基地だった)の中、第5代目の尚金福王の墓は浦添市のキャンプ・キンザーの中にあると聞く。遙拝所が浦添市城間にある。
 第2尚氏の王墓は、首里城のそばに立派な玉陵(タマウドゥン)があり、世界遺産にも登録されている。それに比べて第一尚氏の王墓は、みんなバラバラになり、墓がない王もいる。

 それに3か所は米軍基地、自衛隊基地の中にある。琉球を統一した功績は大きいのに、一抹の寂しさを感じざるをえない。

追記 
 この記事についてコバさんからコメントをいただいた。
 尚巴志の遺骨を金城町の大日寺に隠したと書いているが、この時代、大日寺はまだなかったから間違いではないかというご指摘だった。

 ご指摘の通り、間違いが判明したので、この部分は訂正する。ただし、すでにアップしている記事を書き換えることはせず、別途、検討した結果についての記事を「レキオ島唄アッチャー」(fC2ブログ)にアップしたので、そちらを見ていただきたい。 

 

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コメント

こんな山奥の森のなかに、隠れるようにひっそりと・・・。琉球を統一した国王の扱いにしては、粗野・粗暴・悲惨・悲哀というべきしかないですね。
玉陵ばかり立派で、第一尚氏の墓に光が当てられない、というのは、もう現代になったのだから、なんとかして整備してもよさそうなものを。あ、基地のなかだから、手を加えられないのか。
それにしても、みんな自衛隊や米軍基地のなかとは、これまたなんというか、だけど、もともと墓があったところに基地ができたわけだから、一般のウチナーンチュで普天間基地内に墓があって、シーミーのときだけ証明書を見せていれてもらう、という「金網移民」と同じようなものですね。
尚巴志の墓は飲み物や花をうさぎた跡があったので、ウシーミーにもう誰か子孫がきたのかもしれないですね。
読谷って米軍基地(トリイステーション)史跡や戦跡やファーマーズマーケットややちむん工房や基地返還地などが揃っていて(?)リトル沖縄ですね。民謡の唄者もアーチストもいっぱいいるし。

 琉球王府の時代は、金丸がクーデターで打ち立てた第二尚氏の王朝だから、尚巴志の墓は隠され、その他の第一尚氏の墓は、バラバラでひっそりと祀られているけれど、現代は第一も第二もないわけだから、差別なく扱っていいわけだけれど、第一尚氏の王統は史跡として粗末に扱われている感じですね。
 でも第一尚氏に関係する子孫、門中の人たちはずっと参拝している。史跡を示す石碑も整備したようです。
 読谷は、史跡もいろいろあるし、産物もあり、戦跡もあるし、基地もある点では、沖縄の象徴のような場所でもあるのは確か。それにしても、返還された飛行場跡の広大さにはビックリ。それだけ、戦前、戦後と宝の農地を飛行場として取られた農民の苦しみがしのばれますね。

いつもブログを拝見させて頂き勉強させてもらっております。
金城町の大日寺へ隠したとありますが、建立されたのが尚質王時代1660年ごろです。クーデターは1400年中頃ですので200年程時代が合いません。クーデター当時にはお寺はなかったのではないでしょうか?当方の情報が違っている可能性もあります。ご回答頂けましたら幸いです。

度々コメント失礼します。尚徳王の末裔(雍姓)の方が門中ブログを開設しております。その中に門中墓に関する情報があります。その門中墓を実際に確認したいのですが場所がわかりません。もしブログ主様の方で何か情報がありましたら教えて頂けましたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
リンクを貼り付けます。
    ↓
https://yuujikouchou.ti-da.net/e7592677.html

コバさん、コメントありがとうごあいました。
ご指摘の通り、確かに時代があいませんね。この個所は當眞荘平著『月代の神々』からの引用で、残念ながら裏付けはとっていません。
尚巴志の遺骨を隠したことは事実でしょうから、隠した場所が違う。伝承が違うのか。
 私も調べてみたいと思います。なにか分かれば報告します。
別件の尚徳王の門中墓については聞いたことがありません。墓と言えば、那覇市識名にある御陵跡は見ていますが、こちらはご覧になっているのでしょううね。


ご丁寧なご返信ありがとうございます。当方でも調べてみます。県外御出身の方とのことですが本当に琉球史についてお詳しいですね。当方などはお恥ずかしながら殆ど知りません。ここ数日調べている内に第一尚氏がご先祖であるらしいと知りましてルーツを探っている次第です。屋比久大屋子から雍姓、明姓に派生した様です。識名の御陵碑裏に三つ門中が記されており間違いない様です。その内、楊姓屋比久家とありましたがこちらは家臣の屋比久のことだと認識しております。尚徳王の三男も屋比久なので混乱してしまいました。屋比久大屋子とその子である東風平親雲上興長の関係を示す根拠を文献、資料等を探しておりますが一向に探せません。ただ三つの門中が拠出して識名へ相当規模の御陵跡を残したのにはそれなりの根拠があると思うのです。それを信じて調べて行こうと思います。またご質問させて頂くかもしれません。どうぞよろしくお願い致します。
ありがとう存じました。

コバさん。あまりお役には立てなくてすみません。
第一尚氏では特に尚徳王について関心があります。喜界島にも尚徳王の墓がありますね。
なにか分かれば教えてください。

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