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2012年6月28日 (木)

平和祈願のエイサー歌

 「汗水節」を作詞した仲本稔さんの話の続きである。戦後1953年(昭和28)に「平和祈願のエイサー歌」をつくったとのこと。『沖縄の風土に生きる汗水節』で紹介されている。
 歌詞は7番まである。一部を書きだす。

1、戦争(イクサ)世ぬ哀りゆ 憶(ウ)び出(ンザ)ち 彼(ア)ぬ世ぬ御霊ゆ 弔らゆん 此ぬ世ぬ人々 慰さみん
 (戦争の世の哀れを思い出し 亡くなったあの世の霊を弔い 生き残った人々を慰めよう)

2、恐(ウトル)さや数多(アマタ)ぬ 命(ヌチ)宝 無駄によ捨てたる 浅間しさ 無茶によ捨てたる 命さみ
 (恐ろしいことだ 数多くの命の宝が 戦争によって無駄に捨てられた 浅ましいことだ 
 無惨に捨てられた)

5、原子ぬ爆弾 恐るさぬ 広島長崎 忘りるな 又とや落すな此ぬ世界に
7、世界ぬ国々 人々よ 仲良く平和に 暮さてい 誠な心に 愛込みて

042         エイサーのもともとの姿をよく残す平敷屋エイサー

 仲本さんは、この歌をつくった気持ちをこうのべている。
 「去った戦争で犠牲になった方々の霊を慰めつつ郷土の戦災復興に懸命の努力を捧げながら戦争の悲哀をなめ尽くした吾々が、世界人類と共に絶対にかかる悲劇をまたと繰り返さぬよう平和を祈る心でつくったものです」

 この曲は、1954年(昭和29)のお盆にラジオで放送されたそうである。
エイサーは、お盆に亡くなった人々を供養する行事である。戦争が終わって犠牲者の7回忌に捧げるつもりで用意したものだとのこと。仲本さんの平和への思いがおふれている。

 いまでは、この曲を聞く機会がない。一度聴いてみたいものである。

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コメント

エイサー曲はだいたい早弾きですが、歌詞だけ見ると、普通の民謡の感じですね。
エイサー曲として定着しなかったのは、何か理由があるんでしょうかね。今年の慰霊の日では民謡番組から平和の島唄がたくさん流れましたが、この曲はかかりませんでした。
広く民謡のくくりからみても、この曲はあまり知られていないのでは?
仲本さんの平和を祈願する熱い思いが伝わってきます。もっと唄われてもいいですね。

 沖縄戦の犠牲者を供養するには、もっともふさわしいエイサーなのに、歌い継がれてないのは残念です。放送はされたけれど、レコード化されなかったのかもしれないですね。作られてもその後、忘れられた民謡はたくさんあるでしょう。
 沖縄戦だけでなく、広島・長崎の原爆まで歌い込んだ島唄は、他に聞いたことがない。仲本さんは、とても真面目で几帳面な方だったようです。
 

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