エイサー曲は面白い、なぜ親の恩を歌うのか
エイサーは、お盆に先祖を供養することが本来の目的だから、エイサー曲がそういう内容になるのは当然だ。ただ代表的な曲「仲順流れ」は、先祖供養だけでなく、親の恩、父母への感謝が主な内容である。なぜお盆に親への感謝なのだろうか。
お盆(盂蘭盆=ウラボン)の由来は、中国で作られた盂蘭盆経(ウラボンキョウ)にある。これは、釈迦の十大弟子の一人、目連尊者と亡き母親との物語である。目連は父母の恩に報いようと思うが、亡き母は飢餓に苦しむ餓鬼道に堕ちている。ご飯を供養してもすぐ火炎となり食べられない。釈迦に救いを求めると、釈迦は、犯した罪の根が深いので、多くの僧の修行の最終日の7月15日にご馳走をお供えすれば救われると話された。そして母は餓鬼道から逃れたという。
釈迦はまた、孝心の誠を尽くし、7月15日に盂蘭盆の供養をささげれば、いま健在の父母の寿命は100年伸び、七世の父母も餓鬼道から救われる、毎年盂蘭盆会を営むことをすすめた。
このように、お盆は現在ある父母、亡くなった先祖・七世の父母にその恩徳を感謝する日というのが、そもそもの由来となっている。
小禄にある袋中寺
盂蘭盆経の教えは中国に広がり、7世紀には日本でも盂蘭盆会が営まれた記録がある。琉球ではいつから営まれるようになったのかはまだよくわからない。
17世紀に琉球に来た浄土宗の袋中上人は、布教をするさい、お盆の由来である「盂蘭盆経」の教えを分かりやすくして念仏歌をつくったと考えられている。それが「継母念仏(ママウヤニンブチ)」だという。「仲順流れ」などエイサー曲の原型がここにありそうだ。
だから、先祖を供養するお盆のエイサー曲に、父母の恩への感謝が歌われるのは当たり前となる。
« 「民謡にーせー隊」で歌う | トップページ | エイサー曲は面白い、「継母念仏」とは »
「音楽」カテゴリの記事
- アルテで「肝がなさ節」を歌う(2014.02.10)
- アルテで「歌の道」を歌う(2014.01.13)
- アルテで「時代の流れ」を歌う(2013.12.15)
- 第30回芸能チャリティー公演で演奏(2013.11.24)
- ツレが「渚のアデリーヌ」を弾く(2013.11.18)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
「仲順流れ」の唄の意味自体がおもしろいんでしょう。それをまず紹介して下さいな。
旧盆が旧暦7月15日~3日間になったのは、盂蘭盆に従ったからでしょうかね。
「仲順流れ」はエイサー曲の定番ですが、唄ってる地謡の人たちはいみがわかっているんでしょうかね。
投稿: いくぼー | 2012年7月14日 (土) 08時43分
いくぼーさん。「仲順流れ」については前の日に書いてあるので、それを見て下さい。7月13-15日をお盆として先祖を供養する習慣は、盂蘭盆経の教えが広がったからでしょう。でも、先祖を供養する習慣は、琉球でも古くから行われてきたことだと思います。
エイサーの地謡をやる人は、それなりに先輩から歌詞の内容について、聞いて知るんじゃないでしょうか。どれほど詳しく知っているかはわかりませんが。
三線仲間のKおじいなんか、歌詞が難しいからと2番までしか唄いませんよ。
投稿: レキオアキアキ | 2012年7月14日 (土) 09時10分