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2012年8月13日 (月)

アルテで「懐かしき故郷」を唄う

 毎月恒例のアルテ・ミュージック・ファクトリーの8月のテーマは「音」。真っ先に浮かんだのは、「懐かしき故郷」。故郷は、「フルサト」ではなく、「コキョウ」と読むのが正しいそうだ。
 戦前、戦後に民謡の名曲をたくさん世に出した普久原朝喜さんの作詞作曲である。
大阪にいた普久原さんが、沖縄戦で焼け野原となった故郷を憂う心情にあふれている。

001  「♪夢(イミ)に見る沖縄(ウチナー) 元姿やしが 音に聞く沖縄 変て無らん 
  ※行ちぶさや 生り島」と歌い出す。
 夢に見る沖縄は元の姿のままだ でも伝え聞こえてくる沖縄は戦争ですっかり変わり果てたようだ 行ってみたいなあ わが生まれ島へ、という歌意である。「音に聞く」と出てくるので、テーマに合っていると思った。

 027  「♪ 平和なて居むぬ 元の如自由に 沖縄行く船に 乗してたぼれ ※繰り返し」
 (平和になっている 元のように自由になっているなら 沖縄に行く船に乗せて下さい )

 「♪ 何時か自由なやい 親兄弟ん揃て うち笑い 笑い 暮すくとや ※繰り返し」
  (何時か自由になるだろう 親兄弟みんな揃って 笑い合って暮らす日が来るだろう )

 3,4番の歌詞を紹介した。
 日頃の練習、リハーサルでは上手く三線が弾けたのに、本番になるとやっぱりダメ。手が動かないというか勝手にミスタッチをする。歌はなんとか歌えた。

024 普久原朝喜さんの作った民謡は、その時々の社会の動きの中で敏感にとらえて作った曲が多い。戦前の「軍人節」は、出征する兵士と家族の別れがテーマ。でも勇ましさはどこにもない。妻、母親を残して出ていく悲哀がにじみ出る。「無情の唄」も、やはり男が出征したのか、愛する人と引き裂かれた無情な現状を憂う。「移民小唄」は貧しい沖縄から海外に希望の託して出ていく移民の心情を歌った。「通い船」は、大和と沖縄を結ぶ船に多くの人たちと共に乗り込み出ていく情景が歌われる。いずれも社会の一断面を切り取って描いた名曲だ。

 話がアルテから離れてしまった。今回の出演者では一番の聞きものは、宮古民謡の名手、平良俊夫さんの「伊良部トーガニ」である。奥田さんのたて笛が加わった演奏だった。

046  さすがうっとり聞き惚れる。三線も表情豊かである。歌は情感がこもり、声もよく伸び、味わいがある。さすが、宮古民謡のグランプリ受賞者を集めた大会でグランプリをとったといわれるだけある。この曲でこれ以上の謡い手をまだ見たことがない。

 ツレは、今回でアルテは10回目の登場。ピアノ独奏は2回目だった。スコット・ジョブリン作曲、映画「スティング」のテーマ曲として使われた「ザ・エンターテイナー」。少しミスはあったが、よくリズムにのり、軽快に弾いてとても習い出して4カ月とは思えない演奏だった。

042  打ち上げ会では、三線は私だけなので、「島人ぬ宝」を歌った。beginの島を愛する気持ちがこもった島唄ポップスの名曲である。長く歌い継がれるだろう。
 途中で歌詞を忘れたが、歌っていると思い出し、最後まで歌えた。ファクトリーの本番舞台より、打ち上げ会の方が三線はリラックスして上手く弾けるから不思議だ。

058  

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コメント

「懐かしき故郷」は、三線が間違っても全然わかりませんでしたよ。ただ、多くの観客はウチナーグチがわからないので、最初にアキアキさんが歌詞の意味を説明しても、結局聴いてても「何を歌ってるか、わかならない」、となってしまうし、沖縄民謡の良さも伝わらないという難点があるなあ・・・
普久原朝喜さんの作品は、歌っていて感情が入るというか、共感するというか、歌い手が感動してしまう魅力がありますね。
と思っていたところ、平良さんの「伊良部トーガニ」では、同じく歌詞はミャークフツだから意味は全然みんなわからないはずなのに、唄声の素晴らしさでうならせてしまう、拍手万雷、指笛鳴りやまず、となるんですから、たんに「ウチナーグチがわからないから沖縄民謡はつまらない」ということではないようですね。
「みっちゃん」なんか、「沖縄方言は全然わからない!言葉がわからなくて苦痛なのはもうたくさん!だから使わないで!」と私に通告してるんですけど、アルテで三線の人が出るたび、そう思ってるはずよ~。でも平良さんのやつでは、さすがに「やめてちょうだい!」とは思わなかったでしょうね。
 アキアキさん、これからも島唄チバッテくださいm(__)m

 民謡の歌詞は難しい。「懐かしき故郷」はまだ分かりやすい方です。はじめに丁寧に歌詞の説明をしたんですが。民謡を歌うのに「方言は使わないで、苦痛」だといわれると、民謡そのものの否定までいきます。そういう人は平良さんの歌でも、その良さが分からないでしょう。
 分からない人がいるからといって、民謡を歌わないわけにはいかないので、気持ちを込めて歌い続けるしかないですね。平良さんのレベルには到底追いつかないけれど、そえは仕方ない。1人でも民謡の良さが分かってもらえればありがたいですね。

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