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2012年8月31日 (金)

歌碑のある風景、「安波節」の歌碑は二つある

「安波節」の歌碑は二つある

 三線を習い始めると、最初の覚える名曲に「安波節」(アハブシ)がある。三線の先生についてならい、コンクールで新人賞に挑戦するさいは、だいたい安波節が課題曲だ。この唄の故郷が、沖縄北部の国頭村安波である。本島の一番北にある国頭村でも、交通不便だった東海岸にある。いまでも、高速道を使っても那覇から3時間以上かかった。
 国頭村で一泊したついでに、安波節の里を訪ねた。安波地区に入るのに、普久川橋(上)を渡ると橋のたもとに歌碑があった。昭和56年に建立された立派な碑である。
  「安波節」は、民謡と古典では歌詞の歌う順序が違うという。私の通うサークルでは、6番まで歌詞がある。歌碑に刻まれているのは、民謡では1番に歌う歌詞だ。
「♪安波ぬ真はんたや 肝(チム)すがり所(ドゥクル) 奥(ウク)の松下(マチシチャ)や 寝(ニ)なし所」。歌碑は「奥」が「宇久」となっている。
もっともふさわしいところだろう。008
 広場の奥まったところには、戦前まで樹齢500年といわれる松の大木があったそうだ。広場の赤瓦の建物の中には、スイッチを押すと「安波節」が流れる音声装置まであるという。
 「♪安波ぬまはんたや 肝(チム)すがり所 宇久(ウク)の松下や 寝なし所」。
 歌詞の中の「宇久」については、地名の奥(辺戸岬の近くには奥という名の集落がある)なのか、「奥まった」という意味なのか、二つの説がある。でも、マハンタ広場の奥まった場所に松の大木があったなら、地名ではないということがはっきりする。
 ただし、小浜さんの歌詞の解釈は、この琉歌がたんに安波の風景を詠ったものではなく、恋歌だと見ている。次のように解釈している。 「歌意ー安波の眺めのよい高台は、若い男女が集まって心楽しく遊び憩う所で、ウクの松の下は、恋人二人一緒に憩う所である」
 琉球古典音楽のルーツを突っ込んで調べている小浜さんが、こういう解釈をしているのなら、「安波節」の歌碑に刻まれた原歌には、若い男女の恋愛模様が秘められているのだろう。

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 歌は次のような歌意である。
「安波にある真ハンタの崖は心がすがすがしくなる所だ その奥の松の木の下は昼寝をするのによい所だ」
 歌に詠まれたマハンタは今、公園整備がされて、安波の集落を見渡せる憩いの場所として利用されているそうである。
 ところで、この歌意は一般的な解釈によったが、実は、まったく別の恋歌とも言われる。006_2
 「安波のマンタは心を通わせるところだ (そこで気が合えば)宇久の松下は愛し合う所」。
 こう解釈すると、とても艶っぽい歌になる。琉歌の前半と後半の関係がはっきりすることは確かだ。でも、琉歌を素直に読む限り、そこまで深読みできるのか、素人にはよく分からない。
 「♪安波ぬヌン殿内(ドゥンチ) 黄金灯篭(クガニドゥール)下ぎてぃ うりが明かがりば 弥勒世果報(ミルクユガフウ)」
 (安波のノロ(神女)屋敷に、黄金の灯篭を下げて それが明るくなれば 豊作で豊かな年になるよ)
 この琉歌は、平和で豊かな世の中への願いが込められている。
 安波といえば、この歌のようなのどかな場所だが、一時、海兵隊の普天間基地をこの国頭村安波地区に移設することが画策された。高速道路を延伸するなど地域の振興策を条件に、安波の東部の遊休農地などに、県道70号線にほぼ沿った形で、2500㍍の滑走路を建設するという。いまでも、国頭村のやんばるの森は、海兵隊の演習場として好きなように使われている。この大自然の中に、新基地を建設するなんて、ありえないことだろう。反対の声が強いし、日米政府もまともに取り合わないで頓挫している。
 この曲の歌碑について、2008年5月23日付の「琉球新報」で、小浜光次郎さん(野村流伝統音楽協会副会長)が投稿した記事のことを思い出して読んだ。
 小浜さんによると、私が見た橋のたもとの歌碑とは別に、清水山(ソウジヤマ)の中腹にある「マハンタ広場」に、別に歌碑があるという。マハンタ広場は、標高50㍍ほど。山道を登ると、安波集落の伝統行事あるシヌグ、ウンジャミ祭りが行われるヒラバンタ広場がある。さらに登ったところがマハンタ広場である。このマハンタ広場に「安波節」の歌碑がある。こちらは、文字通り安波節に歌われた由来の場所であり、歌碑がある

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