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2012年9月11日 (火)

歌碑のある風景、沖縄の肝心を歌う「兄弟小節」

沖縄の肝心歌う「兄弟小節」の歌碑 

 沖縄の肝心(チムグクル)を表現するウチナーグチ(沖縄語)の一つに「イチャリバチョーデー」がある。「一度出会えば兄弟」という意味である。島に生きるウチナーンチュの、人とのつながりを大切にする気質を表す代表的な言葉である。その名言をそのまま唄にした名曲がある。前川朝昭作詞、屋良朝久作曲の「兄弟小節(チョウデーグヮーブシ)」という。その歌碑が、与那原町の東浜(アガリハマ)にあるので、以前訪ねたことがある。

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 すでにブログにアップしてある「戦世と平和の沖縄島唄」でも、紹介してある。大理石だろうか、黒光りがしている。歌碑としては、これ以上立派なものは、まだ見たことがないほどである。私の通っている民謡サークルも、前川流の流れを汲んでいる。だから、「名護ぬ七曲い」「伊江島渡し船」「我した生まれ島」など、前川作の民謡がいくつも課題曲に入っている。これらの曲を弾けば、その世界では「ああ、前川流ですね」といわれるそうだ。ただし、「兄弟小節」は入っていない。早弾きの感じで、少し難しいからかもしれない。
 この唄にはエピソードがある。前川さんが戦後、雨がしとしと降る日、那覇市のメインストリートである国際通りを歩いていた。そこでばったりと戦友に会った。その時、前川さんの口から出た言葉がある。
「汝(イヤ)ーん 生ちょーてーさやー 元気やてぃまた、行逢ちょーる節(シチ)んあてーさやー」
 やあ、あなたも生きていたか、お互いに生き抜いて元気だから、またこうして出会える時節もあったよ、というような意味だ。
「兄弟小節」の三番に、ほとんど同じ言葉が歌われている。

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「♪嵐世(ユ)ぬ中ん 漕(コ)ぢ渡(ワ)て互(タゲ)に 又行逢(イチャ)るくとん あてる嬉しゃ 行逢りば兄弟 何隔(ヌウフィダ)てぬあが 語れ遊ば」=嵐のような戦争の世も こぎ渡ってお互いに会えることができた うれしいことよ。一度会えば兄弟 何の隔てがあろうか 語り合い遊ぼう。
「♪たまに友(ドシ)行逢て いちゃし別りゆが 夜(ユ)ぬ明きて太陽(ティダ)ぬ 上がるまでん (同じハヤシ)」=たまに友人と会って どのようにして別れようか 夜が明けて太陽が上がるまで 遊ぼう。

 
 なぜ与那原町に歌碑があるか。前川氏の出身地だから。歌碑は二〇〇五年に、与那原町顕彰碑・歌碑建立事業会とこれに賛同した前川朝昭門下、一門会によって建立された。2011年3月4日「さんしんの日」には、私のサークルの仲間であるHさんも、この碑の前にかけつけ、一門の人たちが一緒に演奏したという。
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上写真には「いきやへば兄弟 何うち隔のあが」(いちゃりばちょうでー ぬーふぃだてぃぬあが)の言葉の由来が刻まれている。
 もともとは、伝統芸能「組踊」の「大川敵討」の一節だとのこと。「右の台詞は、沖縄の先人たちが、つねに持ち合せていた美しい心である。『諸国万民は皆兄弟と思い慈
しみ合いなさい』との先人の教えで、万人友好と永久平和を愛する願望である。この台詞を与那原町出身の民謡歌手・前川朝昭氏が『兄弟小節』の囃子言葉に用い広く知らしめた。沖縄が全世界へ向けて発信しなくてはならない指針である」と刻まれている。
実に、格調高く、永久平和への願いが込められた碑である。
 ついでに、前川さんといえば「前川大主(ウフシュ)」という民謡まで作られている。
「♪神ぬ手どぅやゆる 神ぬ声どぅやゆる 綾歌ゆ残す 前川大主シュラヨイ誇らさよ」(神のような手だよ 神のような声だよ 美しい歌を数々残した前川大主 誇らしいことだ)
 これは「前川本流寿の会の歌」だという。前川朝昭さんへの賛歌である。
 わがサークルの今年の新年会でHさんと一緒に演奏したことだった。作詞は上原直彦、作曲は金城実といずれも大家である。初めてこの曲の譜面をもらった時は、「神の手、神の声」とすこし神格化しすぎではないのか、と違和感があった。でも、前川朝昭さんのCDアルバムを聞くと、三線も歌も、とっても上手いし味わいがあり、見事。思わず「うーん」と唸ってしまった。生演奏を一度聞いてみたかった。

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