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2012年10月14日 (日)

アルテで「石くびり」を歌う

 毎月恒例のアルテ・ミュージック・ファクトリーの10月のテーマは「心」。心はウチナーグチ(沖縄語)では,「肝(チム)」ということが多い。「肝心」と重ねていう場合もある。選んだ曲は「石くびり」。これは「石ころ道」という意味である。この曲は、「肝」が4回も出てくるので、選曲した。

 「♪恋路ちりなさや ままならん世界(シケ)に 無蔵(ンゾ)が云言葉(イクトゥバ)ぬ 肝にかかて」
 (恋の道は情けない 思うようにならないこの世だ 彼女の言った言葉が 心にひっかかって)

 「♪忘らていやしが 肝に思染(ウミス)みて 思切りんならん 我肝(ワチム)やむさ」
 (忘れようとするが 心の思いを染めて 諦めることができない わが心が痛むだけだ)

 「♪無蔵が顔見りば 恋(クイ)しさやまさて 焦(クガ)りゆる肝や 誰(タル)に呉(クィ)ゆが」
 (彼女の歌をも見れば 恋しさが増して 思い焦がれる心を 誰にぶつけようか)

 「♪村ぬ石くびり 我ん一人(チュイ)ど行ぢゃる 互(タゲ)にかながなと 上(ヌブ)て見ぶしゃ」
 (村の石ころ道は 私一人だけで行った 2人で仲睦まじく 上ってみたいものだ)

 003

 別れた彼女への立ち難い思いを石くびり道に重ねて歌った民謡である。

 なせ「石ころ道」なのか。そこには、古くからの名高い琉歌と古典音楽がある。「伊野波節」(ヌファブシ)という名曲である。歌碑がある。
 本部町の伊野波(イノハ)にある石くびりが歌われている。伊野波の集落の小高い茂みに小さな坂道が続く。そこが歌われた「伊野波の石くびり」だという。

 「♪伊野波の石こびれ 無蔵つれて登る にへやも石こびれ 遠さあらな」
 (伊野波の石ころ道の坂は 大変難儀な坂道だけれど 愛する彼女と連れだって 語り合いながら行く時は もっと遠くあってほしいと思う)

 愛し合う伊野波の男性と伊豆味の女性が、伊野波で一夜を過ごし、翌朝、石くびりを語り合いながら登る。峠で別れなければいけない。仲睦まじく歩く石くびりがもっと遠ければ、もっと長く語り合えるのに。こんな思いが込められている恋歌である。

 私が歌った民謡の「石くびり」は、この「伊野波節」を念頭に置きながつくられた曲ではないだろうか。というか、「伊野波節」を知らなければ、「石くびり」の歌意はわからない。

023_2  「石くびり」を歌ったのはいいけれど、歌詞が途中から乱れてしまった。後から「歌詞は間違っても分からないよ」「石くびりの歌の意味がはじめて分かりました」との声が寄せられた。

 もう一度「伊野波節」に戻る。この歌の意味をめぐっては諸説あるそうだ。次のような解釈がある。

伊野波村の坂道を登った所には、かつてハンセン病の隔離場所があり、移住を命じられた夫を見送る妻のひたむきな思いを詠んだ歌だという。この琉歌の背景にそういう事情があるとすれば、琉歌に込めた思いは、より深く重いものがある。

今回のファクトリーで、ツレは「やさしいキスをして」を芸大生の栗田まゆさんのピアノ伴奏とハモリで歌った。

040 家ではほとんど練習してないのに、よく表現された歌だった。「最後のトリにふさわしい歌と演奏でしたね」と主宰者の越智さんが評してくれた。

 

 

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コメント

「石くびり」は情唄なんですね。それこそ「心情」がよくわらわれている歌詞で、大変ナイスな選曲だったと思います(^^)v
そば屋「石くびり」は行ったけど、歌碑は見てこなかったですね。
本部に行く機会があったら、見てきましょう。
アキアキさんは座って歌うのに、声がよく出ますね!日頃座って練習しているからでしょうか。(見てないので立って歌ってることもあるか)。
毎月ファクトリーで新しい歌三線を披露できていいですね~!
うらやましい。楽器ができない私は、歌一つ歌うんでも、伴奏者を探さねばならないんですから。カラオケでは歌いたくない~。だってキーが合わないし、一人で歌うだけってつまんない。来月も頑張りましょう!

 「石くびり」は人気のある曲ですよ。「伊野波節」は古典だけれど、とっても良い曲で覚えたいけれど、難しくてまだまだムリ。
おかげで民謡の曲だけはかなれ覚えたので、テーマにそって探すのは苦労しないけれど、三線の手が動かないのはまだまだです。その分、声出して少しカバーできればというつもりで声張り上げてます。
 いくぼーさんは来月はピアノ独奏ですね。来年には弾き語りができるようになるんじゃないかな。楽しみですね。

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