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2012年11月 2日 (金)

ジャズバンド&与世山澄子を聴く

 復帰40周年記念沖縄ジャズコンサートとして、仲本政國ジャズオーケストラと与世山澄子さんのライブが那覇市テンブスホールであった。与世山さんは、一度どうしてもナマで聴きたかったので、出かけた。121102_191101

 仲本さんは29歳の時、このジャズバンドをつくったので、もう33年になるという。サックス5人、トロンボーン4人、トランペット4人、ドラム、ベース、そして仲本さんのピアノという編成オーケストラである。

 ハービーハンコックの「カメレオン」で幕開け。迫力あるサウンドで圧する。フルバンドのジャズは、東京で原信夫とシャープス&フラットを聞いて以来だ。

 いきなり、サックス、トロンボーン、トランペット、フルートと次々にスタンドプレイヤーが舞台前に出てきてソロ演奏をする。みんな即興である。これぞジャズの醍醐味だ。

121102_191301  演奏中は写真がとれないので、開幕前に撮らざるをえない。

 曲目は、アース、ウィンド&ファイアーの「宇宙のファンタジー」と続く。次は、なんと美空ひばりの「りんご追分」。これがジャズになるとは、驚きだ。「枯葉」と続く。

 ここでまたハプニング。「曲目を変更します。いまから楽譜を配布する。それを初見で演奏します。それが出来るのがプロ。演奏の出来によって今日のギャラが決まる」と楽譜を配った。曲目は「よく分からない」と言いながら。やっぱりプロ。見事に演奏した。

 次は、オリジナル曲「トロンボーンサンバ」。といっても、「曲をつくったのは、一昨日。やっとつくって朝起きたら、猫が楽譜を破っていた。2枚食べていた」とどこまでホントとか冗談か、よく分からないが、サブタイトルは「猫に気をつけろ」。

 沖縄は、米軍占領下でジャズがとても盛んだった。それにしても、これだけの演奏ができるバンドがあるのは素晴らしい。ジャズらしい、自由で即興とハプニングにとんだ演奏で楽しめた。

121102_191201_2   第2部は与世山さんが、真っ赤なドレスで登場。16歳でデビューし、1972年の復帰まで米軍基地のクラブでフルオーケストラをバックに歌っていたという。いまは沖縄だけでなく、日本各地でライブもして、ジャズ評論家らから絶賛されている。「日本屈指の実力派ジャズボーカリスト」との呼び声が高い。

 ブレッドの名曲「イフ」をはじめ、4,5曲を披露した。フルバンドで歌った後は、ピアノ、ベース、ドラムだけで歌う。とてもハートフルで、「これぞジャズ」という感じ。70歳を過ぎたというけれど、まったく年を感じさせない。声量もパンチもある。 これだけ歌えるジャズシンガーは、他にいるだろうか。

 アンコールに応えて、ルイ・アームストロングの名曲「ワット・ワンダフル・ワールド」をフルバンドをバックに歌った。魂を揺さぶられるような歌った。

 70年前後ぐらいに、盛り上がった当時のジャズライブも、こんな感じだったのだろう。

 それにしても、会場は200人余が入ったが、なんとおばあちゃん、おじいちゃんが多い。与世山さん世代が詰めかけた。いまだにそれだけ根強い人気があるのだろう。

 「若い時与世山さんよく見たわよね」「仲本さんもハンサムだったよ」との会話が聞こえた。

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コメント

仲本政國さんのバンドは、スタンドプレイヤーの即興演奏で、まさにジャズの醍醐味を味あわせてくれましたね。
途中でメンバーが初見の楽譜で演奏した曲のタイトルは「中途半端」ですよ。
与世山さんは
10代のベースのクラブで歌っていた頃より歌声の円熟さが増しているんじゃないでしょうか。
ベースにいたころは、相手が本場アメリカーだったので、下手だとすぐ歌手を変えられてしまうので、しのぎを削った戦場だったそうですよ。
「ワッタ・ワンダフルワールド」は地球のあらゆる生命体の輝きを讃えた歌で、彼女が歌うと歌詞に息吹が吹きこまれますね。
70過ぎてなお現役、パワフルな唄声に観客のオバーたちもガンジューの力をいただいたのではないでしょうか。

 フルバンドでも、まったく形式ばらずにとても即興にとんだ演奏は、ジャズならでは。それにソロ演奏するプレイヤーも、みんな演奏が上手く、やっている方も、楽しい雰囲気が伝わりました。
 与世山さんの歌は、アメリカー相手に歌ってきただけに、本場仕込みのような歌唱ですね。長年鍛えられ、身体の芯から、ジャズの魂が溢れている感じでした。
歌う前の短いトークも、歌の意味、心を伝えるとてもよい内容でしたね。

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