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2012年12月17日 (月)

アルテで「命口説」を歌う

 今年最後のアルテ・ミュージック・ファクトリーが15日夜あった。今回のテーマは「忘」。忘年会の季節である。いやなことは忘れ、大事なことは忘れないことも意味する。沖縄民謡では、「忘」がつくのは、恋唄で、「愛する人が忘れられない」などと歌った曲が多い。もう一つ、平和の島唄でも、「あの悲惨な戦を絶対に忘れるな」という曲がいくつもある。

 同じ歌三線では、sonoさんが竹富島の「仲筋ぬぬべーま節」を歌った。きれいな高音を響かせ、さすが教師の資格を取った唄者ならではだった。
 この曲は、竹富島の与人(村長格)が水がめと御用布の原料、苧麻を得るため、隣島の新城島の与人、新垣と交渉し、新垣がその代償として、賄女を要求した。これに応じた竹富の与人は、村番所に勤めていた幸本山戸の娘、ヌベマに新城島に行くことを命じ、幸本も仕方なくヌベマを送った。あとから、可愛い娘を送らなければよかったと後悔したという。こんな哀史を歌ったもの。

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 sonoさんは、曲の解説で、竹富島を訪れた際、ヌベマの生まれた幸本家の子孫がいまもいて、水がめもあることを紹介した。やっぱり、民謡に歌われた物語は、架空のものではない。実在のモデルがいる。歴史は生きていることを、またも実感した。

 Tさんは「二見情話」を歌った。この曲も、沖縄戦のあと、名護市二見の収容所にいた照屋朝敏さんが、その思い出を歌った曲。「戦場の哀りはいつか忘れられるだろうが、二見の美しさは忘れられない」と歌う。平和の願いが込められている。

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 味わいのある三線と歌でさすがだと思った。Tさんは、ギターアンサンブルにも出演している。両刀使いである。

941 私は「命口説」(ヌチクドゥチ)を選曲した。沖縄戦をテーマにした平和の島唄としては出色の作品である。RBCラジオで「民謡で今日拝なびら」を50年にわたって放送している上原直彦氏の作詞である。意訳した歌詞を紹介する。

1、過ぐる戦争を思い出すと 身の毛もよだつ恐ろしさだ

  この世の地獄であったのだ

2、日の丸を掲げ、竹槍に命を預けた国の為に

 エイヤエイヤと勤めはげんだ

3、天皇に忠孝尽くし信じていた、島人みんなの命と体をかけて

 守り守ったことだった

4、艦砲射撃が雨あられと降り注ぎ、惜しくもわが生まれ島はさんざんに

 火の海、火の山となってしまった

5、命をただ一つ引っさげて、沖縄の島尻から中頭、国頭と

 逃げて逃げ回ったことは忘られない

6、海山川の形まで、変わり果ててしまったわが沖縄

  どうしてくれたのだろうか、神さま、仏さまは

7、あのガマこのガマと隠れて、命がようやく助かりもうけたことだ

  でも親兄弟、子や孫まで、散りじりになってしまった

8、いかに物を言わない草木だって、命あるため焼かれれば

  ああ、あわれ、あわれと泣かないことがあろうか

9、戦争を起こしたのは何のためなのか、戦争を始めたのは誰だったのか

  神の仕業か人のなせることか
  (注・神には現人神といわれた天皇を含むのかも)

10、戦世をしのぎ、みるく世(平和で豊かな世)を迎えると思えば

  あれこれと国がゆさゆさ揺れる、危ういことが果てしない

11、幾年月日がたとうとも、沖縄の人はこぞって、あの戦争のことを

  子や孫に語りつぎ、いつまでも忘れるなよ 命口説

 ホールが変わってから、前よりは落ち着いて歌えるようになった気がする。三線も簡単な旋律の繰り返しとはいえ、あまり間違わずに弾けた。
 「とてもよい歌詞ですね」「歌っている表情がよかったよ」との感想をいただいた。

 

 ツレは、ギター伴奏で石川さゆりが歌った「朝花」を歌った。シンガーソングライターの樋口了一さんが、奄美大島で聞いた「朝花節」をモチーフにして作詞作曲した。今は亡き夫を偲び、一人で生きていく女性を描いた曲だ。

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 演奏が難しい曲で、ギターの音が小さくしか弾けないので、歌もマイクなしの地声でうたった。情感のこもった歌声に、会場も静かに聞き入っていた。

 

 

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