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2012年12月21日 (金)

宮古島探訪、平和の犬川

平和の犬川

平良港のすぐそばにある漲水御獄(ピャルミズウタキ)の近くに「ニブス川 平和の犬川」という碑があった。「平和の犬川」とはなんだろうか。何かいわれがありそうだ。しかし、説明を書いた案内板などなにもない。「平和」という言葉は、あまり古いものではない感じがある。

114     「ニブス川 平和の犬川」の碑の前にコンクリート製の井戸らしきものが見える

 よくわからないまま、写真だけ撮って、旅行から帰ってきた。宮古に行く前に図書館で予約していた『みやこの歴史―宮古島市史第一巻通史編』がようやく借りられた。読んでいると、思いがけなく「犬川」の記述に出会った。もしかしたら、これが由来かもしれない。市史を発行している宮古島教育委員会に問い合わせをした。教育委員会の職員が、突然の問い合わせにかかわらず、「犬川」の由来を書いた資料をファックスで送ってくれた。忙しい中で、問い合わせに親切にこたえていただいたことに、感謝したい。

資料を読むと、やはり、『みやこの歴史』の記述にある物語が、「犬川」の由来であった。その部分をかいつまんで紹介する。

宮古島が争乱の時代、いまから600年以上前、14世紀のことである。

目黒盛豊見親(メグロモリトゥユミャ)は、智・仁・勇をそなえ持つ人だった。当時、与那覇原(ヨナハバラ)の作多大人(サータオフヒト)は、至極無道で諸村を攻略することをなりわいとしていた。
 
 作多大人が豊見親のところへ来て、これから先、非を改め「和睦し、共に太平を楽しもうぞ」と言った。その意を歓迎したが、帰路の様子をうかがわせると、目黒盛を打ち滅ぼすと話していたので、城郭を堅固にし用心していた。ある時、作付の時期に城内に人が少ないのをみはかり、作多大人が攻めてきた。城中が危うく見えたので、豊見親は城門を開き打って出て戦ったが、ついに漲水の磯辺まで追い詰められた。

100            漲水御獄の説明板。犬川のことは書かれていない 

 豊見親が自害しようとしたとき、敵陣がざわめきだし蜘蛛の子を散らすように乱れだした。不思議にもこれは7年前に行方知らずとなった豊見親の飼い犬が、洞の中から躍り出て敵兵の中を縦横無尽に駆けて、吠え、噛み廻っていて、その猛けきことは虎のようであった(犬の出た洞を今も犬川=インガー=といっている)。
 
 豊見親がこれに力を得て残りの兵たちを率いて切りかかるときに、異変を知った豊見親の救援兵たちが諸方から駆けつけて打ち重なって攻めてきたので、作多大人はその勢いにおそれて囲いを解いて逃げ帰るところを、豊見親の遅参の兵たちが先を遮って、三方から囲み散々に攻め立てた。これで十行(一行とは百人の単位)の兵の7,8割は滅びてしまった。作多大人は残兵とともに逃げのびたが、ある夜、おびただしい物音がして、与那覇原の兵どもは暴死した。これによって諸方の兵乱はおさまりようやく島内が鎮まった。

113

 この記述は、宮古島の歴史書である『宮古島記事仕次』(『平良市史』第3巻)の内容に概ね、そっている。『宮古島記事仕次』では、犬の飛び出したところは、次のように表現している。

「七年の以前豊見親の飼犬行衛なく失けるか只今洞の中より吠いてゝ大勢の中を縦横無碍に噛ミ満ハる其猛き事虎のことく是に當るもの脛をかみ砕かれ足を喰切られ馳めくる事飛ぶがごとし犬の出し洞を今に犬川と名つく大勢犬のふるまひ尋常ならず神の助なるへしと少しいろめく(略)」

つまり、洞から飛び出した豊見親の飼い犬の大活躍で、窮地にあった豊見親は救われ、作多大人・与那覇原との決戦に勝利して、争乱の宮古島を平定したのである。

宮国定徳著『宮古の史跡文化財』でも、「犬川」を史跡として紹介している。この著書は、豊見親が追い詰められた時の様子を次のように記述している。

「漲水の浜辺まで追いつめられた。ときに目黒盛は『吾は争乱の宮古を統一して平和な島づくりをと思いしに武運拙なく…』慨嘆して岩陰で自刃しようとしたときに洞穴から二頭の猛犬が飛び出して…」

この著書によれば、目黒盛は「争乱の宮古を統一して平和な島づくり」を願っていたと解釈している。窮地にあったとき、飛び出した犬の大活躍で勝利できたので、その結果、宮古島は平定され、争乱は鎮まり、島は平和になったということになる。この両雄の決戦は、宮古の歴史にとってはとっても重要な意味を持っている。

こうした経過から「犬川」が、とくに「平和の犬川」と命名されたのだろう。資料を読むと、その由来がなんとなく納得できた次第である。

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