コンサートのハシゴという新体験
クラシックコンサートを二つハシゴするという新体験をした。こんなのは、生まれて初めてだ。それもいずれも、無料のコンサートである。
一つは、「デュオ・レゾナンス~デビュー・コンサート」。県立芸術大学準教授で岡田光樹さんのバイオリンと、同大学院非常勤講師の小沢麻由子さんのピアノによるアンサンブル。
「レゾナンス」とは、共鳴、共振、同意という意味を持つそうだ。演目は、モーツアルト、グリーク、ブラームスのいずれも「ピアノとバイオリンのためのソナタ」の3曲。
ピアノとバイオリンのためのソナタといえば、ポピュラーな組み合わせだ。しかし、作曲家がピアノとバイオリンを対等な立場として位置付けている作品があるにもかかわらず、あたかも、「(ピアノ伴奏つき)バイオリンソナタ」といった位置づけと思われていることが多いのでははないだろうか。
この2人のデュオは、二つの楽器が対等に共演し、それぞれの個性が際立ち、対話し融合するという音楽的対話を目指している。
演奏を聴くと、その趣旨が見事に生きている。二人の個性が互いに対話し、交流し、作曲家のもつ深い音楽世界を表現していて、心地よくひたれる演奏会だった。
会場となった芸大の奏楽堂ホールは、こんな演奏会にふさわしい規模のホールで、響きもよい。1,2か月に一度は、こんなコンサートを無料で提供しているという。これから、もっと聴きにきたいと思った。
夕方6時前に終わったあと、夜は7時から南城市佐敷のシュガーホールで、沖縄の音楽家+サファリーオーケストラメンバーによる「2013春 コラボレーション友好コンサート」があり、すぐに佐敷に向かった。こちらは、アルテ・ファクトリーに来ていた女性が、「ぜひおいで下さい」と言って招待券をくれたのだ。
サファリーオーケストラは、東京で活動する社会人オーケストラ。サファリーとは、スワヒリ語で探検・探求という意味。どうも、「サファリー」と言われると、アフリカの狩猟・探検旅行のイメージが先にきて、音楽のイメージが浮かばないのは私だけだろうか。
沖縄出身のビオラ奏者が「沖縄に来てください」と言い出したことから、沖縄の音楽家とコラボによるコンサートが実現したという。
プログラムは多彩で、ヴィヴァルディの「四季」より「春」、大バッハの次男のC.P.Eバッハの「フルート協奏曲」、モーツアルトの「交響曲第27番」、幸松肇の「弦楽のためのシンフォニエッタ」、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」という5曲。盛り沢山だ。
指揮は、2年前N響を退職したバイオリニストで、指揮もとる前澤均さん。
「春」では、土屋杏子さんがバイオリン、協奏曲では、疋田奈津子さんがフルートを独奏した。
管楽器はフルートとホルンが加わるだけだが、総勢30人余りの演奏は、弦楽の響きに厚みがあり、迫力ある演奏でとても楽しめた。なかでも、チャイコフスキーと「弦楽セレナーデ」はよく知られた名曲だけに、魂をゆすぶられるような感動を覚えた。
プログラムが多かったので、指揮の前澤さんもお疲れの様子。アンコールはなかったが、大満足だった。
メンバー一人ひとりの紹介がされていた。これもとてもユニークな紹介があった。たとえば、沖縄の与那嶺理香さんは、なんと住所が世界遺産の中城城跡となっている。島ニンジンやキャベツをたくさん作っているとか。チェロで西原町在住の城間恵さんは、「家のすぐ近くに幸地城跡があり、そこからの眺めが最高!」。音楽家の紹介で、グスク(城)が登場するのがいかにも沖縄的である。
東京のフルート奏者の疋田さんは、都内プロオーケストラにエキストラ出演するほどの腕前で、しかも一見モデルのような容姿。ところが、週末は世田谷の焼トン屋「忠や」で額に汗して働いているという。
みんな働いたり、学んだりしながら大好きな音楽活動を続けていることがよくわかる。沖縄に演奏に来るのにも、旅費も持ち出しで来てくれたのではないだろう。感謝、感謝である。
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