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2013年8月19日 (月)

エイサー曲は面白い。仲順流れ

エイサーといえば、いまは沖縄を代表する芸能の一つだが、もともとはお盆に先祖を供養する念仏歌に踊りがついたものだといわれる。古くは「にんぶちゃーうどぅい(念仏者踊)」とも呼ばれた。 沖縄のお盆は、旧暦7月15日。だからお盆のことを「しちぐゎち」とも言われる。

 いまちょうどエイサー曲を練習しているところである。最近はいろいろな曲がエイサーに使われるが、昔からのエイサー曲といえば、「仲順(チュンジュン)流れ」「久高マンジュ主」があげられる。歌ってみると改めて歌詞が難しい。でもなにかいわれのありそうな歌詞だ。

019          2011年青年ふるさとエイサー祭りで

 手元にある工工四(楽譜)では「仲順流れ」は、6番まである。
 「仲順流れや七流れ 黄金のはやしや七はやし」
 (仲順の川の流れは七流れ 黄金の林や七林)。
 「はやし」とは民謡の「囃子」のことかと思ったが、「林」のことだという。後から紹介する伝説の「黄金の林」にかかわるくだりが出てくる。
 3番の歌詞は、「仲順大主や果報な者 産し子(ナシグヮ)や三人産し出ぢゃち」
 (仲順大主は幸せ者だ 可愛い子どもを3人産み育てた)。
 大主(ウフシュ)とは、地域を支配者である按司(アジ)の家来の中の頭職のことをいう。いわれがありそうな歌詞だ。
 5,6番の歌詞には「アケズ(蜻蛉)の飛ばば親と思り ハベル(蝶)の飛ばば母と思り」
 「父御(グ)の御恩や山高し 母御の御恩や海深し」と歌われる。
 明らかに、父母の恩や親や先祖への感謝が意味されている。

 興味をひくのは、3番目の歌詞だ。北中城村仲順に伝わる「仲順大主」の伝説があるとのこと。次のようなお話だという。いろんな人の話を参考にさせてもらった。

 学者だった仲順大主は、妻を早く亡くした。3人の子どもがいた。財産を一番親思いの息子に譲りたいと思い、3人の息子を呼んだ。「私は年老いて物が食べられない。お前の嫁の乳を飲ませてくれ、子は捨ててくれ」と言った。長男も次男も「頭がおかしくなったのか、子は宝ではないか。それはできない」と断り出ていった。
 三男は「子どもはまた産めばよいが、親は一人しかいない。子を捨てて乳をあげましょう」と同意した。大主は「息子よ、子を捨てるなら東の森の三本松の下に三尺穴を掘って埋めよ」と言った。
 三男が、涙を流しながら穴を掘っていると、鍬の先に堅いものが当たった。小さなカメが出てきた。中には金が詰まっていた。大主が埋めたカメだ。大主は「ひどいことを言ってすまなかった。黄金はお前にやる」と言った。その後、仲良く暮らしたというお話だ。
 これも、親を大切にすることを諭す内容である。

022         福島県いわき市の上高久青年会のじゃんがら念仏踊り

 こんな伝説をベースにした「仲順流れ」は、各地のエイサーに取り入れられている。
もともとエイサーは、17世紀に琉球に来た福島出身の袋中上人が、いわき市のじゃんがら念仏踊りを伝えたとか、、もともとあった踊りと合わさってエイサーが出来上がったといわれる。

 それにしても、なぜお盆に演舞するエイサーで、先祖供養だけでなく、親への感謝が歌われるのだろうか。それは次にしたい。

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