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2013年8月 9日 (金)

薩摩の倒幕資金と奄美の砂糖、その2

薩摩藩の倒幕資金について原口泉氏(志學館大学教授)が、奄美の砂糖は「とるにたりない」というだけでなく、「上海貿易からの収益」が基本的な収入であったと、のべていることにも、先田光演氏は『奄美諸島の砂糖政策と倒幕資金』で反論している。
 
上海貿易というのは、幕府の厳禁した密貿易にあたる。原口氏は「薩摩は、上海貿易であまりにもやりすぎたもんだから、これはあぶないということで、(坂本)龍馬をつかうわけです。それが商社、亀山社中です」とのべている。
 
この論議は、私的にはあまり関心がない。上海貿易で収益があったとしても、奄美諸島の砂糖が薩摩藩の財政にとって相当の比重を占め、倒幕の軍資金としても、重要な役割を果たしたことは変わりがないと思うからである。
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                 奄美大島

 
 
 先田氏は、史料を調べても、上海貿易の収益を裏付ける史料は見つからなかったようで、原口氏と同じ座談会に出席した2人の論者も「上海貿易の利益に関する史料が発掘できていない」のべており、それは「史料そのものが存在しないためではないか」と上海貿易(継続した貿易体制)の利益説に疑問を呈している。
 
 薩摩藩が奄美大島で生糸、米などの産物を購入し、グラバー商会が上海などで販売、損益は折半するという「大島スキーム」(大島商会)にもとづく、上海貿易については「実現しなかった可能性が高い」とのべている。

 
 奄美の砂糖生産や上海貿易についての原口氏の主張を詳細に検証したうえで、「原口説は史料的根拠が明確に出来ない学説であり、道之島の砂糖政策に関しては、全く逆の史実である」と結論付けている。

 1609年に薩摩藩が琉球に侵攻し、奄美諸島は薩摩の直轄の植民地のようにされてきた。「奄美が薩摩支配下で収奪され、ただひたすら『第一御産物』の増産に追い立てられてきた、苦難苦闘の歴史を否定する発言である」と先田氏は厳しく指摘している。
「薩摩藩によって収奪されながらも、奄美の人々が誇りとさえ思ってきた黒砂糖生産」を、鹿児島本土の研究者に「とるにたりないもの」と評価されたことにたいする、著者の耐えがたい思いが強くにじんだ著作である。

 
 先田氏は、自分の説が正しいか、原口説が正しいか、「他の研究者の論考を俟ちたい」とのべている。沖縄では、情報が乏しいが、注目しておきたいと思う。

 

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