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2013年9月19日 (木)

怪物と恐れられたガーナー森

怪物と恐れられたガーナー森(ムイ)

真玉橋の石獅子を前にアップしたとき、一基はガーナー森に対する魔除けの意味で設けられたものであることを紹介した。毎月朔日(ツイタチ)と15日には石獅子に赤いまん頭を三つ供えて『ガーナー森(悪魔)がこの村に来たら追い払ってください』と祈願する習慣があったという。

このときは、ガーナー森がどこにあるのかよくわからなかった。アルテ三線仲間である玉那覇宗造さんから教えてもらった。那覇の古波蔵方面から那覇大橋を渡りすぐ左手にある居酒屋「能登の海」の裏側に小山がある。これがガーナー森である。

Img_3348
 昔は、国場川河口(漫湖)の中にある小さな島だった。

 現在の河口付近は大半が埋め立てられてしまい、ガーナー森も地続きになっている。かつて、奥武山(オウノヤマ)からガーナー森にかけての景色は名勝地として有名だった。

 案内板があり、次のように説明していた。

Img_3347
 この森にはナハキハギが群落をなして生育しています。ナハキハギは、アフリカ・オーストラリア・インド・東南アジア・太平庄諸島・中国大陸・台湾などに分布するマメ科植物です。沖縄県では、西表島、石垣島、沖縄島などの海岸に生育しています。沖縄島はナハキハギの北限地になっています。この森は、歴史的にも名勝として知られ、ナハキハギ群落のある大切な記念物です。Img_3402

              現在の漫湖。とよみ大橋を渡った左手にガーナー森がある   

 尚敬王の冊封使の徐光(ジョホコウ、1719年来琉)は、那覇港から国場川河口にかけての景色のよさを「漁舟夕照」とほめています。

 また、尚温王のときの冊封使李鼎元(リテイゲン、1800年来琉)も、二度奥武山に遊び、ガーナー森を「鶴頭山」と詠んだ詩を残しています。

 名前の由来は、ガーナーとは「たんこぶ」のことで、形が似ているからといわれる。ガーガーとうるさい鵞鳥(ガチョウ、雁の仲間)が棲んでいたからという説もある。

玉那覇宗造さんによると、伝説ではガーナー森は怪物だったという。漫湖を我が物顔で暴れ回り、したい放題、狼藉三昧を繰り返していた。漫湖に接する村々を襲い、村人を食い荒らしていた。とくに豊見城市の真玉橋、嘉数、根差部(ネサブ)の村の被害が大きかったようだ。襲ってくると、村人総出で五尺棒や鎌、鍬など農具で武器として仕える物を持ち防戦したが、怪物にはとても勝てなかった。後は、神頼みしかない。村人たちは一生懸命に神様に祈願したら、天に通じたよう。神様も「ガーナー」の悪行を天から眺め、苦々しく思っていた矢先でしたので「もういいでしょう」と3個の大岩を天から投げつけた。それが見事にガーナーの尻尾に命中した。ガーナーは暴れようとしても動けない。とうとう力尽きていつしか時が経過し、怪物は小島に変身させられた。

             

 被害の大きかった真玉橋、嘉数は漫湖に注ぐ国場川に面しており、根差部も漫湖に注ぐ饒波(ノハ)川に面している。この3村とも石獅子があり、漫湖のガーナー森に向かって設置されている。石獅子の霊力でガーナーの悪行を止めてもらいたいとの昔の人たちの切実な願いの現れと思われる。

 「ガーナーの悪行とは洪水による水害のことではなかったのか?」、真玉橋の石獅子を見学した時、ふと思ったそうだ。漫湖周辺の村々は、豪雨のたび洪水による甚大な被害を被ったと思われる、と推理している(「アルテ・ウォーバ」2013年9月号、「タマさんの沖縄話あれこれ」から)。

Photo

                        小島だったガーナー森(史跡案内版から)

 埋め立てられる前の小島だった時代のガーナー森の写真が、那覇市壺川駅前の史跡案内板にある。これを見ると、なるほど。大きな頭と胴体があり、そこから長い尻尾が伸びている感じだ。まるでネス湖の怪獣の写真に似ている。ガーナー森は、湖に浮かぶ怪物のように見える。たびたび水害に襲われた村人たちは、水害はこの怪物が暴れるから引き起こされているのではと受け取ったということも、ありうる話だ。尻尾の先の岩は天から投げつけられたという大岩だろう。そういう伝説が生まれるのも、写真を見れば納得できる。

 埋立てによって、伝説を生んだ昔の姿が様変わりしたのは、ちょっと残念な気がする。

050           ガーナー森に向かって建つ真玉橋のイリヌ・シーサー(西の石獅子)


             

 

 

             

 

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