辺野古埋め立ては承認すべきでない
米軍普天間飛行場の閉鎖・移転問題が緊迫している。政府が移転先とする辺野古沖の埋め立て申請について、沖縄の仲井真県知事が来週中にも判断を示そうとしているからだ。
17日に開かれた沖縄政策協議会で、県が求めた基地負担軽減策には、これまで主張してきた普天間飛行場の県外移設は消えて、5年以内の運用停止に留まっている。オスプレイの配備中止も消えて、12機程度を県外に分散配備するにトーンダウンした。これは県民世論とはかけ離れた要求だ。そこに危うさを感じる。
これまでなんの議論もなかった要求を急きょ持ち出したことが、辺野古埋め立て承認の条件としているのではないかという重大な懸念がある。「産経新聞」は、知事が承認する方針を固めたような観測記事を流している。世論作りの狙いが込められているだろう。
県の提出した要求は、政府にとって『高いハードルではない」とみられている。5年という期限も、県への埋め立て申請で工期を「約5年」としているからだ。たとえ、政府が「最大限努力する」など回答しても、決して埋め立て承認をすべきではない。
こんな「負担軽減策」や経済振興など、承認の条件にはなりえない。沖縄は条件闘争をしてきたのではない。埋め立ては不承認とすべきだというのが、県民の圧倒的な声である。
「琉球新報」19日付け「法に照らして不承認を 沖縄の心の真価を示すとき」という社説は、県民の心を代表している。
政府は、「辺野古移設を認めないと普天間が固定化する」と脅してきた。しかし、本来、世界一危険な普天間は即時閉鎖・撤去すべきもの。それを同じ沖縄県内に押し付けるから動かない。辺野古に巨大な新基地を建設すれば、それこそ沖縄への海兵隊の駐留と米軍基地が半永久化する。これこそ「固定化」の最たるものだ。
普天間の閉鎖・撤去・県内移設反対は、県民の総意である。県議会の全会一致の決議や41全市町村の首長・議長らが今年1月に政府に提出した建白書は、オール沖縄の意思を示している。自民党の国会議員と県連が公約を投げ捨てたとしても、一部の政府追随者が脱落しただけであり、県民の総意には何ら変わりがない。
仲井真知事は、選挙でも「県外移設」を公約し、自民党県連が変節した後も、みずからの「県外移設」の主張には変わりないことを県議会でも答弁してきた。もしも、埋め立てを承認するようなことがあれば、県民への重大な背信行為となる。
なにより、辺野古移設は、住民の命と人間らしい暮らし、安全を危険にさらすことになる。美ら海(チュラウミ)など自然と環境に取り返しのつかない破壊をもたらす。環境保全の要件だけをみても、承認の道がとれるはずがない。
沖縄は復帰以来、県内への米軍の新たな基地建設は許していない。仲井真知事は任期あと1年である。埋め立て申請への判断は、後世にまで大きな影響をおよぼす歴史的な意味を持つ。子孫末代まで誇れるような決断をすることこそ、県知事の責務である。
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