無料ブログはココログ

« 大人気の南部農林「農業祭」 | トップページ | 浦添歴史の道、「経塚の碑」 »

2013年12月10日 (火)

玉陵をめぐる光と影、その4

薩摩に侵略された悲運の尚寧

玉陵に入れられていないもう一人の国王が第二尚氏の7代目、尚寧王である。

4代目の尚清の後、5代目尚元王、6代目の尚永王が継いだ。尚永王は、30歳で早世した。実子がなかった。そこで迎えられたのが、かつて廃嫡した尚維衡の曾孫にあたる尚寧だった。

 この、尚真以後の尚清王の系統を「首里尚家」と呼び、尚維衡の系統をその本拠地が浦添だったことから、「浦添尚家」とも呼ばれる。本来、尚維衡は正妃の子で長男だったから、浦添尚家の系統が嫡流(本家)である。尚清は側室の子で5男なので、首里尚家の方が庶流(分家)である。

尚寧は第7代国王となったが、不幸なことに1609年、薩摩藩が琉球に侵攻し、降伏にいたった。薩摩には絶対に背かないことを誓約されられた。尚寧は、死後、玉陵には葬られず、「浦添ようどれ」に葬られた。

「浦添ようどれ」は、浦添グスクの北側崖下にある。中山王だった英祖王が1261年に極楽寺を建立し、後に寺のそばに墓をつくったと伝えられる。いわゆる「ようどれ」である。極楽陵とも称された。尚寧王が1620年に改修した。

Photo_2
                   浦添ようどれ

西側に英祖王、東側に尚寧王が葬られている。「ようどれ」とは、夕凪のこと。同時に極楽を意味するともいわれる。

 玉陵から排除された国王・王子たちが、尚宣威とその血を引く尚維衡(有資格者から排除)、その曾孫の尚寧というのは、一つの血でつながっている。偶然ではない気がする。

ただし、首里尚家と浦添尚家は対立、対抗していたのではない。5代目、尚元王の正妃は、尚維衡の孫にあたる「梅岳」(真和志聞得大君)であり、6代目の尚永の母である。尚寧は尚永王の長女を正妃に迎えている。

このような近親結婚を重ね、「嫡流と庶流が混然一体となっていく」(与並岳生著『新琉球王統史6』)のである。

 それに、追放されたはずの尚維衡の遺骨は、後に尚清王のもとで、玉陵に移葬された。これは、碑文で厳しく定めた有資格者の書き付けに背くことだ。「天を仰ぎ、地に伏して祟るべし」と記しながら、堂々と踏み破っている。

 ただし、いまなお尚宣威と尚寧は葬られていない。尚寧はなぜ玉陵に葬られていないのだろうか。

『沖縄県の歴史散歩』は、「慶長の役で島津氏に敗れた尚寧王は、王陵に葬られるのを遠慮してようどれに葬るよう遺言したからだという」との伝説を紹介している。ただ、それは「俗説」だと退ける人もいる。

歴史研究者の新城俊昭氏は「一説によれば、尚寧は『島津の侵入をまねいたのはすべて私の徳のなさによるものであり、玉陵に入る資格はない。私の柩は故郷の浦添の地に葬るように』という遺言を残したという」という説を紹介しながら、「実際には尚寧の出身地である浦添にもどっただけのことであったという説もある」とのべている(『琉球・沖縄史』)
 
 尚寧王は、死のひと月前に遺命を残していたという。「王の病重く、八月に重臣に命じて、浦添の極楽山陵を造営させた」と『中山世譜』に記述がある(与並岳生著『新琉球王統史6』)。

                           

 

「ただ『王陵の碑文』にしたがったのです」と与並氏は解釈している。自分の生まれた浦添の地に戻ったということでもある。浦添はいわば故郷であり、永遠の眠りにつくのにふさわしいと考えたのだろうか。

それにしても、玉陵が建造された時代から100年ほども後世の国王だから、碑文の書き付けはもう関係ないはずだ。それに、曾祖父の尚維衡が有資格者から当初、除外されていたとしても、すでに碑文を破って移葬されているので、なおのこと碑文にこだわる必要はないように思う。

新城氏は「琉球王国はじまって以来の国難に遭遇した尚寧の心情には、複雑な思いがあったに違いない」(同書)とのべている。

本来なら、国王は玉陵に入るのが当然である。それをあえて浦添ようどれに葬ることを選択した心情を思う時、薩摩侵攻のことは無関係だとはどうしても思えない。それが素人としての感想である。

 

« 大人気の南部農林「農業祭」 | トップページ | 浦添歴史の道、「経塚の碑」 »

史跡」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 玉陵をめぐる光と影、その4:

« 大人気の南部農林「農業祭」 | トップページ | 浦添歴史の道、「経塚の碑」 »

最近のトラックバック

2021年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30