埋め立て承認は歴史的な大罪
普天間飛行場の辺野古移設問題で、仲井真県知事は27日、埋め立てを承認した。テレビ中継された記者会見を見ると、政府の圧力に屈したというより、政府に迎合する不埒な政治家の姿がそこにある。こんな最悪の知事をもつ県民は不幸である。即刻、辞任するのが筋だ。
その1。なにより、県民に普天間の県外移設を公約し、議会でも再三、言明してきたにもかかわらず、なんの謝罪もなく承認に踏み切ったこと。世論調査で7割が辺野古移設反対という県民の声、地元の名護市長の反対の意見も踏みにじる歴史的な裏切りを犯した。
その2。安倍首相に最大級の賛辞を呈して承認したこと。県が勝手に提出した4項目の要求に首相は、普天間の5年以内の運用停止にしても、具体策はなにも答えてない。地位協定改定も本体には手を触れず補足協定を検討するだけ。オスプレイも、配備ではなく訓練を少し移すだけ。「基地負担軽減」という意味ではゼロ回答同然だ。それを、「安倍内閣の沖縄にたいする思いがかつてのどの内閣にも増して強い」と天まで持ち上げた。
そればかりか、「5年以内の運用停止」など、実効性はなにもないのに、「道筋が見えた」などというのは詐術に等しい。知事の任期はあと1年もない。「あとは野となれ山となれ」では無責任極まる。
その3。沖縄振興予算の増額やリップサービスのような回答に飛びつき、政府の言いなりに承認するのでは、「沖縄はアメを与えれば認める」という誤ったメッセージを振りまくことになる。アメを喜ぶのは、日米政府にすがりつくごく一握りの政治屋だけだ。県民の胆心(チムグクル)とはまったく異なる。
その4。「県外移設」の公約違反を問われても「変えていない」と開き直っていること。埋め立てを承認しておいて「県外移設が早い」「暫定的でも県外移設の検討を」と主張しても何の意味もない。辺野古移設を認めれば、政府がそれ以外の方策を考えるはずがない。「県外移設」を変えてないというなら、埋め立てを承認すべきではない。
公約との矛盾を質問されると、「私に対する批判か」と居丈高な態度をとる。そこには、不誠実きわまりない政治家の姿が見える。
「琉球新報」28日付け
自民党国会議員、県連が、自民党本部の脅しに屈した際は、その姿はみじめで哀れな感じさえした。だが知事は「苦渋の選択」でもない。承認して何が悪いのか、といわんばかりだ。この会見を見ていると、知事は早くから承認の意思があり、その環境づくりのため、政府・自民党本部と通じて、自民党県連・議員をへ転換させたのではないか、そんな気がする。
その5。承認の理由は、環境保全措置が講じられており「基準に適合」しているという。巨大な基地を建設すれば、自然も生活環境も取り返しのつかない破壊をもたらすことは自明の理だ。それが「基準に適合」とは、県の基準は環境破壊に適合するシロモノなのか。名護市長の意見は、法律に反していると断じていた。承認に導くため法や基準をゆがめて「適合」としたとしか思えない。
書きだすと果てしがない。いずれにしても、知事が「辺野古移設は時間がかかる。不可能に近い」と述べてきた。それだけは正しい。知事が埋め立てを承認しても、県民も地元名護市の市長、議会も認めてない。来年1月の市長選でも市民はきっぱりとした審判を下すだろう。
事情があって、反対行動にはなかなか参加できないが、県民の知事への不信と怒りはいっそう広がるだろう。
新聞の写真以外は、NHKテレビの画面から。
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