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2014年1月 5日 (日)

「瓦屋節」の歌碑、朝鮮陶工が伝えた陶器製造

朝鮮陶工が伝えた陶器製造

 渡嘉敷三良の墓の近くに、もう一つ見逃せない墓がある。琉球での陶器製造の始まりと伝えられる朝鮮陶工・張献功(チョウケンコウ)の墓である。近くにあると教えてもらったが、探してもわからなかった。発掘調査をしている事務所に戻ってもう一度、墓の場所を尋ねた。渡嘉敷三良の墓を教えてくれた職員は、現場に出ていたが、戻ってきて教えてくれた。

三良の墓から数十メートルも離れていない。道路わきの木が茂ったところに、墓の入り口と小さな石碑が建っている。Photo


 ここには何も陶工のことを説明する表示はない。だが、少し離れたところに、この付近の史跡の案内板がある。それにはよると、陶器製造は、17世紀であり、瓦焼きの始まりよりも数十年ほど後のことになる。

朝鮮から陶工が連れてこられた経過と涌田村(現在の那覇市泉崎)で陶器づくりが始まったことを次のように記している。

 「琉球に帰化した朝鮮陶工張献功の墓。張献功は、もと一六(イチロク)といい、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、朝鮮から薩摩(現鹿児島県)へ連れてこられた陶工の一人。1616年琉球国側からの願いにより、一六・一官・三官の3人が琉球に渡り、国中に作陶技術を広めたという。その後一官・三官は薩摩に戻ったが、一六は懇請され琉球にとどまり、仲地麗伸(ナカチレイジン)と称し、涌田村(現那覇市泉崎)に家屋敷を下賜された。1638年7月12日死去(年齢不詳)」Img_4299

『琉球国旧記』(訳注)は、次のように記している。

「万暦44年(1616)丙辰、尚豊王が世子でおわした時、命を奉じて薩摩へ赴かれた。この時、世子は請うて、高麗人(の陶工)三名、一官・一六・三官をつれてお帰りになり、わが国の人に製陶法を教えさせた。数年たって、二人はともに鹿児島へ帰ったが、わが国の人は、まだ製陶を知らなかった。一六だけがわが国にとどまって、わが国の民に(製陶法を)伝授した。遂に◆髻(カタカシラ、文字がない)を結って、名を仲地(ナカジ)といい、今にその子孫は泉崎村に居住し、常に製陶業をいとなんでいる。造った甕器を人々は高麗焼とよんでいる」

 新屋敷幸繁氏は「沖縄の人がみな陶工を知るようになったのは、この張献功の功である、とたたえられている」と指摘している(『新講沖縄一千年史上』)。

沖縄の陶器の始まりに、朝鮮から来た陶工がいたことは聞いていたが、それが秀吉の朝鮮出兵が関係していたことは初めて知った。Img_4298

 豊臣秀吉による朝鮮への出兵・侵略のさい、各大名が多数の朝鮮人民を自分の領地に連れ帰った。その中に多くの陶工がいた。陶工を連れ帰った大名はなぜか九州の大名が多かった。朝鮮陶工たちは、その後の日本の陶磁器の発展に大きな貢献をした。
 
 薩摩に連行された陶工は、総計80名ほどにのぼる。薩摩では、藩の保護も薄く、土地の住民から襲われることもあった。「九州の朝鮮陶工のなかで最も悲惨な道を歩んだのが、薩摩・島津義久に連行された陶工たちであった」(中里紀元著「九州の朝鮮陶工たち」、「洋々閣ホームページ」から)といわれる。073
           壺屋にある南窯

 この中の3人が沖縄に連れてこられたわけである。

 お墓は、残念ながら石碑に刻まれた文字がほとんど判読できない。無理やり日本に連行され、沖縄にまで連れてこられた朝鮮陶工の功績を伝えるために、渡嘉敷三良と同じような説明板をぜひ設置してほしいと思った。

 「瓦屋節」に歌われた伝承について、朝鮮陶工の張献功が妻とした女性のことが歌われているという説がある。

 首里郊外を散歩していた張献功が美しい女性を見染め、ぜひとも妻にしたいと王府に願い出た。女性は人妻で子どもまでいたが、王府は陶器の製造技術を受け継ぐまで琉球にいてもらいたいので、彼女を夫や子どもと引き離して結婚させた。

 この説によれば、献功は涌田村で陶器を焼いていたので、瓦屋の頂に登って故郷を眺めたというのは、涌田村ということになる。そのように書いている人もいる。これについては、後から検討したい。

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